約束の日が判明してから2か月後。
ロイは密かにマリアと2人だけの結婚式をする事になった。
故に、大佐という身分としては慎ましい結婚式となった。
だが、新婦であるマリアはその慎ましい結婚式の所為ではない溜め息を吐いた。
「新婦に溜め息を吐かれるとは……昨夜は激しすぎたかな?」
そうロイが言う様に、マリアはプロポーズを受けたと同時に抱かれ、既成事実が出来た。
否、既成事実をつくるが為に抱いたのか、と疑いたくなるくらいにタイミングが良かった。
そう。
例え参列者が居ない2人だけの挙式でも、時期を確実に計画する必要もある。
そして、その時期を読み切ったかのように抱かれた事に、マリアは妊娠してから気付いた。
それ故に、家族への報告も出来ずに結婚となった現状を納得しきれていなかった。
その不満をぶつけるように、マリアはロイの真意を再確認した。
「確かに私は結婚が出来る年齢になりましたが、大佐さんとの結婚を急ぐ必要はなかったですよね?」
「だが、君を未婚の母としない為には必要だろう?」
「その様な配慮をして頂けるなら、そうならないように自重をして頂けなかったのですか!」
そうマリアはただ不満をぶつける様に叫んだが、ロイはただ微笑みながら受け流した。
「最愛で唯一無二といえる女性が抱けるチャンスを逃す男は不能だけだよ」
「……そうでしたね。大佐さんは不能ではなく無能でした」
と言われてもロイの笑顔は変わらなかったが、マリアは身の危険を感じた。
そして、マリアが危険を感じたと察したロイは、微笑みながらその危険を肯定した。
「今から君を抱き潰しても構わないのかな、マリア?」
「流産もさせる気ですか?」
「その点でも安心が出来る方法はいくらでもあるぞ?」
そうロイに問い返された、否、マリアが危険を理解したが故に白旗を挙げる様に応えた。
「……大佐さんの存在自体が危険だと再確認しました」
「危険な男、か。想い人からもそう思われるとは嬉しいね」
「……私の恋愛対象は大佐さん以外には居ませんよ?」
「君がそう断言してくれるのは嬉しいが、男は単純なようで複雑なんだよ」
というロイの不安も理解したマリアは不意に近づくと互いの唇を重ねた。
マリアからキスをされる事があまりないが故に、ロイは驚きから目を見開いた。
そして、ロイの驚きも予想していたマリアは互いの唇を離してから正直な想いを告げた。
「私が隣を望む方は、ロイ・マスタングだけです。お兄ちゃんやアルじゃないんですよ?」
「……ありがとう。俺も君以外の女性を隣に置く事は無い。愛してる」
「はい。私も愛しています」
そうマリアがロイの応えると、ロイは無言でマリアへ誓う様にキスをした。
また、マリアもその誓いへ応える様に、ただロイからのキスを受け入れた。
これは基本設定とは違うIF小説です。
ただ……想像以上に甘い小説になったのですが……
いえ、恋愛モノですから、甘くなるのは普通なのですが、エドの双子の妹の場合はそれが難しかったのですが……あれ?
もしかして、エドの双子の妹の意地などを取り除くと、甘い恋愛小説になるのでしょうか??
ただ、エドの双子の妹からあの強硬な意地や性格を取り除くとエドの双子の妹らしくないと思ったのですが……小説でも匙加減は苦手なようです。
また、明日はロイ×氷炎の錬金術師(オリキャラ)のIF小説です。