定めと抗い 第2話「繰り返し」

「雪村家の再興なんて馬鹿げた事の為に、千鶴を犠牲にする気か、網道!」

そう薫は自宅に網道が戻ると同時に宣言、否、恫喝めいた宣告をした。

それを聞いた、否、その言葉の真意も気付いているが故に、千鶴はただ薫の名を口にした。

「薫……」

「雪村家の再興は、雪村家の総意であり、千鶴の使命なのだよ」

と薫に答えた網道は少し、否、完全に陶酔しきった表情で微笑んだ。

否、微笑みというより、嘲笑の方が似合う網道の笑みは、ただ薫の怒りを更に煽った。

「そんな事、俺は認めない!」

「……ありがとう、薫」

そういった千鶴は、激昂している薫に感謝しつつも、諦めを秘めた瞳で微笑んだ。

そう微笑む千鶴の静かな覚悟を察した薫は、ただ名で言葉にする事でその意図を問うた。

「千鶴?」

「私は雪村の本家の跡取りだから……覚悟はしていたから、大丈夫」

「だけど、斉藤……」

と薫が斉藤との両片想いに言及しようとすると、静かだった千鶴が名を呼ぶ事で制した。

「薫!」

そう呼ばれた薫は、千鶴の感情を引きだす事は出来たが、言及の言葉を続けられなかった。

それくらい、千鶴の想いが深い事と相反する思い故の諦観にも、薫が気付いたが故に。

そして、薫の反論を奪った、否、庇った千鶴はただ優しくも儚い笑みで感謝した。

「……ありがとう、薫」

という言葉で終えた二人の会話から、予定調和だと思った網道は淡々と千鶴に告げた。

「では、風間家には私から連絡しよう。婚儀はお前が学生を終えてからでも良いそうだから、そのつもりでいなさい、千鶴」

そう千鶴に告げた網道は、鞄から取り出したスマホを操作しながら書斎へ向かった。

それ故に、薫は背を向けた網道を睨み、千鶴はただ宣告を受け入れた様にただ見送った。

「……はい、わかりました」

という千鶴が答えに納得が出来ない、否、抗おうとする薫はその手段を無言で模索した。

 

 

 

「で、本当に風間の婚約宣言は本当なのか?」

「雪村網道と風間千景の密約らしいですが、風間家にとっても、没落している雪村でも本家の跡取り娘との婚儀は、色々と利点もあるみたいですね」

そう沖田は土方の問いに淡々とした口調で答えた。

否、淡々と語られた詳細が過ぎる沖田の情報収取の結果に対し、三馬鹿はただ驚いた。

「……おまえだけは敵に回したくねぇな」

「俺も左之さんに同意」

「そうだな、俺も左之の意見と一緒だ」

と言われた沖田は土方と睨み合っていた視線を三馬鹿に向けてからニッコリと笑った。

「それって『敵』になるっていう宣言?」

「とりあえず、総司は情報を集めろ。あと、山崎にも色々と伝手があるようだから協力してもらえ……あくまでも『協力』だからな?」

そう沖田に告げた土方は、無用な騒動と喧嘩を制する様に今後の指示を言葉にした。

また、土方が薄桜学園の校長である近藤の右腕でもあるが故に、沖田はその指示に従った。

「わかってますよ、山崎君は敵にしたくない人物リストに居ますから」

 

 

 

 

 

雪村家に関する設定は適当な思いつきでもある為、軽く流して頂ければ、と。

いえ、長い歴史がある家だから、というだけで思いついた捏造(妄想?)なので。

また、沖田さんと山崎さんの情報収集に関しても同様です。

そして、次回更新もさいちづが前提ですが、斉藤さんと土方さんの会話と、千鶴嬢と沖田さんの会話のみになるかと(遠い目)