2 別に仲がいいわけじゃない(お題使用1)

ヒューズの失態をきっかけにロイと初対面したアグニは、数日後に再会する事となった。

アグニはロイとの再会を拒否したが、ロイの熱心な錬金術師としての主張に負けた。

だが、アグニとロイの錬金術に関する軽い討論は、想定外な熱い討論となった。

それ故に、討論を終えた直後、ロイは軽い挨拶の様にアグニへと続きを求めた。

「では、明日からもこのような機会があると嬉しいのだが」

そうロイに問われたアグニは、ただ聞き役に徹していたヒューズに厳しい視線を向けた。

「……マース。今日限り、じゃないの?」

「……ロイの研究意欲は女を口説く以上にしつこいんだよ。オマエの方がわかってるだろ」

というヒューズの意味深なアグニへの答えを聞かされたロイは、その真意を問いかけた。

「どういう意味だ?」

そうロイに問われたヒューズは今すぐにでも逃げる様な姿勢で答えなかった。

また、アグニも同じ様に答えようとはせず、ただ貝の様に口を閉ざした。

その様な2人に対し、ロイは辛抱強く答えを口にする様な無言のプレッシャーを向けた。

それ故に、錬金術に関する熱心な討論をしていたとは思えぬ、沈黙がこの場を支配した。

そして、数分続いた沈黙をあえて軽く破る様に、アグニは淡々と過去の事実を口にした。

「……数年前、貴方を見かけた事があって、その時から少し知っているだけよ」

とアグニが口にした言葉を補足するように、ヒューズも軽い口調で事実を言葉にした。

「で、オレがロイ・マスタングの親友だと知ってからは色々と吐かされたんだ」

「……つまり、ヒューズが独断で話した私の情報料は貰っても構わないかな?」

「……マース」

そうヒューズの名だけを言葉にしたアグニは、燃え盛る熱い瞳と冷たい空気を纏った。

それ故に、ヒューズはその様なアグニに答える事なく、ただ逃げる様に立ち去った。

「……すまん、アグニ!」

「では、私を見かけた時とマースとの出会いも聞いても良いかな?」

とロイは満面の笑みでアグニへと問い詰める様に過去を聞き出そうとした。

だが、今はロイに語りたくない、否、時期尚早だと思うアグニは軽い口調で受け流した。

「……錬金術の意見交換よりも優先事項かしら?」

「いや……どうしてもイヤだというなら、意見交換に応じてもらうだけでも有り難いが」

「じゃあ、明日からも錬金術に関してなら時間をつくるわ。貴方の意見もとても参考になるから」

そうアグニは会話を終わらせようとしたが、ロイは意図的に引き下がらなかった。

「では、アグニと呼んでも構わないかな? 私の事もロイで構わないから……」

「貴方のファンクラブに面々と騒動になりたくはないのだけれども、マスタングさん?」

「……残念だ。名前の方も少しずつお願いをする事にしよう」

というロイの口調は、浮かべている笑みよりも楽しげに感じられた。

それ故に、アグニは更にロイが微笑む様な笑みや言動を見せないようにした。

だが、それもアグニを知る者には見抜かれる様な薄氷めいたクールさだった。

それ故に、アグニはヒューズが立ち去っている事に感謝しつつも冷静な口調で答えた。

「……私はそうならない事を願っているわ」

 

 

 

 

 

ロイと氷炎は出逢ったばかりなので、今までの小説とはかなりの距離が有ります。

そして、ロイと氷炎の距離は大事件をきっかけに急速に縮まるのではなく、

小さなきっかけと長い時間が距離を縮めていく過去を想定しています。

また、氷炎とヒューズの関係も似たような縮まり方なので、

3人の過去話を全て披露する機会は、今のところ予定していなかったりします。

ただ、3人の「やまなし、おちなし、いみなし」な上に

長くても良いという申し出が有れば更新したいとは思います。

いえ、私の脳内設定上だけではほぼ出来上がっている為、

あとは書く時間とUPする機会と需要が有るか、だけなので。

 

 

 

使用お題「親友お題1」お題配布サイト様「疾風迅雷」