「カゴの鳥」風間×千鶴

「加護の鳥、という噂を知っているか?」

そう風間が問うと、天霧は深い溜息を吐き、不知火は呆れた思いを隠さなかった。

だが、問いに答えない二人に対し、風間は答えを強要する様な視線を向けた。

それ故に、天霧は忠告を言葉にし、不知火は呆れた思いを言葉にした。

「……風間、奥方の性格も考えられた方がよいかと」

「というか、自分の妻の事を加護の鳥と公言した上で認知させるって……本当に変わらねぇな、おまえは」

「ふん。千鶴の様な妻に出逢えぬ幸運が無いが故の僻みか?」

と風間は二人の言葉をそう評したが、天霧と不知火の態度は変わらなかった。

そして、風間の帰りに気付いた千鶴が屋敷の玄関から声をかけながら迎えに来た。

「千景さん!」

「……では、明日は早朝から仕事があります」

「そうそう。明日は夫婦での仕事なんだから、夜は控えろよ?」

「それは我が妻に言え。今宵も強請らぬよう……」

そう風間が閨事情までもあからさまに言おうとした為に千鶴が遮る様にただ叫んだ。

「千景さん!!」

「あー、ほどほどに頑張れよ、二人とも」

「では、明日はいつもより早く迎えに参ります」

といった天霧と不知火はこの場から去ろうとしたが、風間はそれに答えず、ただ千鶴に問い掛けた。

「俺は嘘など言ってはいないぞ」

「ですが!」

「事実を事実として語って何が悪い。それに、おまえが噂に違わぬからこそ、噂が広がるのだ。故に、おまえが我が妻として恥じない言動を、これからも心掛ければ良いだけだろう」

そういう風間の言葉は理路整然としているが、乙女心への配慮が足りていなかった。

故に、風間の言葉に納得できない千鶴は、ただ配慮が足りない事への反論を言葉にした。

「……私は強請ってなんかいません」

「そうか? 昨夜も焦らされたおまえは、俺が欲しいといっただろう」

「千景さんが焦らした事が原因です!」

という千鶴の乙女心に気付けない、否、気付かない風間は叫ばれた意図を曲解した。

「……閨事情まで公にしたいのか、おまえは?」

「千景さんの馬鹿!!」

そう叫んだ千鶴は千景から逃げるように、ただ屋敷の方へと走り帰った。

そして、千鶴と乙女心を未だに理解していない風間は走り帰る妻を名で留めようとした。

「千鶴!」

「……なあ、いつまで居なきゃなんねぇんだ、俺達」

そう不知火は共に立ち去れずに痴話喧嘩を聞かされている天霧にそう問うた。

すると、天霧は諦めの境地、否、悟りの境地で不知火に答えた。

「風間の気分次第でしょう」

 

 

 

 

 

……今回の風間×千鶴は想定外なコメディとなりました(遠い目)

というか、ネタ段階ではシリアス系だったのですが……どうしてこのようなコメディになったかが疑問です。

また、明日は連続更新のラストで土方×千鶴のSSとなる予定です。