「カゴの鳥」原田×千鶴

「今日こそは、私がお買い物に行きます!」

そう千鶴は産んだ赤子に乳を与えると、ほぼ家事を代行している夫の原田にそう告げた。

すると、原田はさりげなく千鶴の言葉を否定しながら必要な品を確かめた。

「だが、親子で買いに行くには、まだ難しいだろうから俺が行く。何が要るんだ?」

「……」

「千鶴?」

と原田は無言となった愛妻の意図を確かめる様に、ただ千鶴の名で問い続けた。

すると、原田の意図と想いを探る様な視線と共に、千鶴は真っ正直な疑念を問いかけた。

「……左之助さんも女性を籠に囲う趣味があったんですか?」

「……」

「左之助さん?」

そう千鶴から執拗に問われた原田は、開き直ったような態度で正直な思いを言葉にした。

「確かに過保護なのは認める。だが、心配する事が悪いのか?」

「大丈夫ですよ」

という千鶴の笑みと言葉に含まれる深い想いと決意を再確認させられた原田が譲歩した。

「……はぁ、おまえには敵わないな」

「じゃあ……」

「乳離れするまでは、俺に任せてくれ」

そういう原田から譲歩と思いを察した、否、千鶴と赤子への想い故に、千鶴も譲歩した。

「……わかりました。でも、ご近所さんとの挨拶くらいはさせてください。じゃないと、左之助さんに籠に囲いたがるという噂になりそうですから」

「ああ。これからは取次もするから……」

という原田の譲歩を聞いた千鶴は、把握していない過保護な原田の言動に気付いた。

それ故に、原田の言葉を遮る様に千鶴は確認を求める様に名を叫んだ。

「左之助さん!」

「お、俺は買い物に行ってくる!」

そう千鶴からの確認、否、お説教を避ける為に、原田は早々に家を出た。

また、原田と譲歩をしあったが故に、千鶴は出ていく姿に対して叫ぶ事しか出来なかった。

「左之助さん!!」

 

 

 

 

 

……夫婦の甘い一幕というより、原田夫婦の痴話喧嘩、でしょうか?

甘くなる予定でしたが……意図的に甘くしようとする努力は徒労のようです(遠い目)

また、明日は風間×千鶴のSSを予定しています。