「平助は千鶴ちゃんの恋愛対象外でも良いんだ?」
そう平助に問い掛けたのは同級生の総司で、そう問われた平助は淡々と総司に答えた。
「……俺は今度こそ千鶴の幸せも見届けたいって思ってるだけだ」
「ふーん。平助らしい『こたえ』だね」
という総司の評し方は、平助を意図的に煽るような言い方だった。
それ故に、否、総司の意図を理解しているが故に、一は短くも忠言を言葉にした。
「総司、平助の思いも汲むべきだ」
「そんなこと言ってるから、現世でも僕なんかを千鶴ちゃんが選ぶんだよ」
そういう総司の煽る様な言葉を聞いた平助は、聞き終えたと同時に顔面を殴った。
その様な平助の行為に傍観者としていた一も予想できていなかったが故に驚いた。
また、平助に殴られた総司も驚いたが、反射的に少しは受け流す事が出来た。
故に、総司は痛む頬の状態を片手で確認しながら平助に鋭い視線を返した。
「……手加減もなく殴ったね、平助?」
「総司の言い方が悪すぎる」
という一の傍観者であるが故の客観的な意見を聞いた沖田は意図的に話の矛先を向けた。
「じゃあ、一君も千鶴ちゃんが僕を選んでも良かったんだ?」
そう総司に問われた一が答える前に、平助が再び殴りかかりそうな勢いで宣言をした。
「千鶴は今でも本気でお前を愛してるんだ! だから、その想いを穢す事は俺が許さない!!」
という平助の決意を表明と想いを再確認したが故に、一は沈黙した総司に答えを促した。
「……総司」
「はいはい、僕が悪かったって言えばいいんでしょ?」
そう一に問い返した総司との二人の言葉の意味が察しきれない平助は状況確認を求めた。
「……どういう意味?」
「千鶴に一番近いおまえがどう思っているか、それが不安で総司は平助を煽ったんだ。止められなくて……すまない」
という一の状況説明と総司の意図を知った平助は、自身の正直すぎる吐露を言葉にした。
「……確かに俺も千鶴の想いが変われば、『俺』を選んでくれたら、って思った事はあるけど、千鶴が『千鶴』だから、また守りたいって思ったんだ」
そう平助が吐露した想いを聞いた一と総司は、苦笑う様な謝罪めいた答えを返した。
「千鶴との恋路は応援できぬが、困った事があればいつでも言ってくれ。相談には応じる」
「そうだね。今回は平助に貸しひとつ、ってところかな?」
と一と総司から言われた平助は照れくさい思いを隠す様に話を逸らした。
「そんなに千鶴の事を想ってるなら、告白すればいいのに」
「……告白しても理解してもらえないから、周りから攻めるつもりなんだけど?」
「「……」」
「ま、千鶴ちゃんの昔から変わらない無垢さは、平助と薫の努力の賜物だと思うけど、もう少し色恋沙汰への鈍さは変わっていて欲しかったよ」
そう総司が大きな溜め息と共に千鶴との進展の無さ以上に悲惨な現状をそう語った。
それを聞いた一は前世を思い出したが故に、返す言葉も助言も思いつかなかった。
また、平助も千鶴を守る事を優先していた現世での言動を反省する様にただ謝罪した。
「……色々とゴメン、総司」
今回は更新を予定しているSSL設定を捏造した沖田編の一部になったかと(遠い目)
まあ、設定を考えている状態なので、変わる可能性は高いですが。
というか、平助&千鶴の友愛というより、沖田×千鶴が前提の男子トークかも……
と、とりあえず、明日は原田×千鶴のSSを予定しています。