「カゴの鳥」沖田×千鶴

「ねえ、幸せ?」

そう沖田は、夫婦として雪村の里があった場所で暮らしている千鶴にそう問いかけた。

否。二人だけで隠棲している様な生活でも千鶴が幸せであるかを沖田は知りたかった。

だが、その様な沖田の不安を察しているはずの千鶴はただ満面の笑みで答えた。

「はい。大好きな総司さんと一緒に暮らしていますから」

「……即答なんだ」

といった沖田は千鶴の想いの深さと覚悟にただ驚いた。

けれども、その様な感情の根底にある想いが一緒だと思った沖田も千鶴に笑みを返した。

そして、その笑みが嘲笑に近いと察した千鶴はそれを指摘せずに沖田との会話を続けた。

「ええ」

「でも、こんな箱庭の様な二人だけの生活は籠の様に感じない?」

「総司さんに囚われるのでしたら、何処でも良いです。例え籠だとしても、総司さんと一緒ですから」

そう答えた千鶴が満面の笑みだったが故に、沖田は返す言葉が思いつかなかった。

否。千鶴の想いを甘く見ていた事を沖田は再確認させられたが故に応えられなかった。

そして、自身の深い想いが普通だと思う千鶴は、その様な沖田の思いに気付けなかった。

「総司さん?」

「本当に千鶴ってコワイね」

と答えた沖田は笑みとは言い難い、意味深な笑みを千鶴に見せながら答えた。

また、沖田の笑みの意図にも気付けない、否、色恋沙汰に鈍い千鶴はただ首を傾げた。

 

 

 

 

 

……今回の薄桜鬼でのSSは、ネタの方向性が小説にすると全く変わる、という状態になりやすいようです。

というか、意地悪な沖田さんを書くつもりが、千鶴嬢の反応がコワイ為、何故か甘い仕様になりました(当サークル比)

また、明日に更新予定の斉藤×千鶴も甘い仕上がりになっているかと。