「カゴの鳥」孟花

花が部下達の諫言や女官達の心無い言動で傷ついている事も知っている。

だから、孟徳の強引な決意表明も理解は出来るが……俺は認めたくない。

ただ、現状を打開できるのも花しか出来ないとも確信している。

……花には悪いと思うが、孟徳を選んだ代価だと思ってもらおう。

 

 

 

そう元譲は思って実行しようとしたが、少し肩を落として歩く花の姿を見て躊躇った。

だが、花への特別扱いを諫言する部下を冷静に突っ撥ねる孟徳を元譲では止められない。

それ故に、孟徳を止められる存在であり、癒す事も出来る花に止めてもらうしかなかった。

しかし、孟徳の深い愛情に嫉妬する女官たちの態度で傷つく花を思うと元譲は躊躇った。

「花……その、大丈夫、か?」

という元譲の躊躇いと配慮を感じさせる問いに対し、花は穏やかな笑みで答えた。

「私は大丈夫です。それよりも元譲さんの顔色の方が良くないですよ?」

「……知っているのか?」

「何をですか?」

そう花が元譲に問い返した為、元譲は花がまだ孟徳の決意を知らないと察した。

それ故に、孟徳を止める必要性を説いて花に説得を頼もうとした。

「いや、まだ知らないなら構わない。だが、孟徳が……」

「花ちゃんに何を吹き込んでも、俺の決意は変わらないぞ」

という孟徳が元譲の言葉を遮るような横槍めいた言葉を口にした。

そして、自身の間の悪さに頭を抱えている元譲に対し、孟徳はただ厳しい視線を向けた。

また、二人の言動から自身にも関わる重大な事があると察した花は孟徳に問い掛けた。

「どういう意味ですか、孟徳さん?」

そう花に問われた孟徳はあえて元譲に命令する様な口調でただ名を口にした。

「元譲」

「……俺は郷里に戻るぞ」

「ああ。後継を確かめた後でならな」

という孟徳と元譲の会話を聞いた花は、穏やかな眼差しで確認する様に名で問い掛けた。

「孟徳さん?」

「ごめんね、花ちゃん」

そう孟徳に謝られた花は、ただ現状と望まれる事を確認するように率直に問うた。

「……私も要らないんですか?」

「ねえ、花ちゃん。君が『丞相』ではない望みを聞いてくれた事は覚えてる?」

「はい」

「俺は近く死のうと思っている」

と花に告げた孟徳の表情は『死』が近い表情とは明らかに違っていた。

そして、孟徳が嘘をつかないと知るが故に、花は言葉の真意を確かめる様にただ見つめた。

それ故に、孟徳は花の私室に移動してから、『曹孟徳』の名を葬る計画を打ち明けた。

 

 

 

 

 

今回は「思いでがえし」に関わるネタバレ小説となりました。

なので「思いでがえし」が未プレイの方には不親切かと思いますが、気になっている方は是非プレイしてください!すごくおススメです!!

また、ネタがネタだけに甘い小説とはなりませんでしたが、元譲さんのモノローグとかは書いていて楽しかったです。

また、明日は文花のSSを更新する予定です。