「カゴの鳥」子花

子龍と花が結婚してから数年が経っても、二人の雰囲気は新婚といえる状態だった。

それを親しい者達はからかいながらも喜んでいたが、歓迎しない者達も居た。

だが、歓迎しない者達の大半は嫉妬や横恋慕といった者達が多かった。

それ故に、そう言った噂に疎い子龍は、女官達のその様な言動を見て落ち込んだ。

そして、その落ち込み方は親しい者達を心配させ、帰宅後は花も気づかう様に問い掛けた。

「……どうしたの?」

「……」

「子龍君?」

そう花から気遣う様に問い続けられた子龍は、落ち込んでから閉ざしていた口を開いた。

「……やはり、私は貴女に相応しくないのでしょうか?」

「……何かあったの?」

「……私に直接言われませんでしたが、私と貴女は不相応だと言っているのを聞いたのです」

という子龍の答えは、花には色々な意味で想定外だったが、想像が出来る事ではあった。

それ故に、花は穏やかな口調で自身の想像の正しさを確認する為に子龍へ問うた。

「……もしかして、それは女性だった?」

「ええ。そうです」

そう子龍から想像が正しいと思える答えを得た花は淡々と状況の補足をした。

「多分、相応しくないのは私の方で、子龍君が私なんかを選んだのが間違いだと言っていたんだと思う」

「それはどういう意味ですか?」

と子龍に問い返された花は、状況的に不味いと思いつつ苦笑を堪えられなかった。

否、花だから苦笑ですんでいた、というくらい、子龍の鈍さは結婚後も変わらなかった。

そして、結婚後も子龍はそういった天然な鈍さを同僚達からからかわれていた。

その為、花の苦笑に対しても過敏となった子龍は声を荒げながら苦笑の意図を問うた。

「何故、笑うのですか!」

「だって、子龍君、昔からすごくモテてたし、今もすごくカッコ良いから当然だよ」

「それを言うなら私の方です!」

そう子龍は花の言葉を強く否定すると、結婚前からの不満、否、不安を言葉にした。

「今でも貴女を『軍師殿』と慕う兵も多く、結婚する前から嫉妬させられ続けたのは私の方が多かったです!」

と子龍に力説されても、自身の色恋沙汰に鈍感な花はただ首を傾げた。

否、子龍の不安は花が知る以上の事実に裏付けされていた。

それ故に、子龍は花に自覚を促し、今後の憂いを除こうとした。

「いいえ、その様な貴女の無自覚さも可愛らしいとも思いますが、軍師であったのならば事実は事実として認識してください! 未だに貴女を女性として邪な目的で狙う輩は……」

そう力説された花は、子龍の言葉を鵜呑みにせず、聞き流す事も無く、ただ受け入れた。

「大丈夫だよ、子龍君。子龍君が夫としても守ってくれるでしょう?」

という花の提案は子龍にとっても当然で最上の答えだった。

それ故に、子龍は満足気に花の提案を受け入れる様に肯定した。

「もちろんです!」

「じゃあ、食事にしよう?」

「はい……いつも有り難うございます」

そう答えた子龍は笑顔で花が作った夕食を食べ始め、花も満面の笑みで子龍に応えた。

 

 

 

 

 

……可愛い仕上がりになったと思うのですが、甘い仕上がりではないような気が(遠い目)

子花は可愛いCPだと思いますが、本編のラストの様な燃える展開もアリですよね!

ですが……その様な燃える展開を描くには色々と不足なので『可愛い』を目指そうかと。

また、明日の更新は孔花を予定しています。