「カゴの鳥」雲花

おまえが共に帰る事を願っている事には気づいている。

だが、それは無理だ。

その願いはその本でも叶えられない。

だから、おまえはこの世界に囚われる前に帰れ。

俺が囚われたように、おまえまでこの世界に囚われる事態となる前に。

 

 

 

「突き放そうとしているのか、守っているのか、不思議な人だ」

そう孔明から告げられた雲長は荊州と花の今後を一任された。

しかし、孔明から告げられたように、雲長は己の処遇にも迷いがあった。

否。

『関雲長』として生き続ける様になってからはじめて迷いを感じた。

そして、それを生じさせた感情を否定できないが故に、雲長は迷ったままだった。

また、その様な思考に囚われていた雲長を心配する様に、花は声をかけた。

「……雲長さん?」

そう花から声をかけられた雲長は答える事を、否、会話も拒絶する様に答えなかった。

だが、その様な雲長の反応を予測し、慣れてしまった花はただ会話を続けた。

「あの、師匠に話とは?」

「……今後の荊州に関しての確認だ」

と雲長から拒絶の意を含む短い答えを聞いた花は感じた痛みを隠せなかった。

だが、雲長も花の様子に気付かない、否、以前の様に気遣う様な言葉を口にしなかった。

「そう……ですか」

「……おまえは帰らないのか?」

そう問うた雲長は、以前から考えていた花へのさりげなくも願いに近い配慮を勧めた。

だが、雲長と荊州の事だけを考えている花はその意図に気付けずにただ首を傾げた。

それ故に、雲長はすれ違っている思いに気付ないふりをして、ただ帰る事を提案した。

「いや、師匠である孔明殿が我が軍に居るのだから、弟子であるおまえの役割はもうないだろう、と思っただけだ」

「……私は居たいです。後悔したくないから」

「……」

「だから、私はあきらめません。それだけは……思わせてください」

と花に告げられた、否、決意表明を聞かされた雲長は答える事が出来なかった。

否、花に答える言葉が浮かばなかった雲長はただ応える事も出来なかった。

そして、雲長から答えが無い事も予測が出来ていた花はただ会話を切り上げた。

「……失礼します」

「……俺にどうしろというんだ、おまえも」

そう呟いた雲長は、花の言葉を否定も肯定も出来ない自分に苛立った。

そして、その苛立ちをぶつける様に、近くの柱に己の拳を強く叩きつけた。

 

 

 

 

 

CP小説なのに、雲長さんと花ちゃんしかいない雲花なのに……両片想いで甘くないです。

そして、仕上げで少しでも甘くしようと足掻きましたが、徒労な結果になったかと。

やはり私には甘い小説は……難易度が高くて、レア度も高いのかもしれません(遠い目)

 

また、今日から連続更新を再開します。

今日まで更新をお待ち頂いた方々には謝罪と感謝を。

そして、その思いへお返しも出来るように小説の更新も頑張りたいと思います。

 

あと、今後の更新予定等はブログにてご確認をお願いします。

また、明日は翼花のSSを更新する予定です。