「カゴの鳥」ホークアイ&氷炎の錬金術師

マスタング組が『釣り』をした時と後始末で、ロイの決裁する書類が処理能力を上回った。

そして、ロイの無理矢理な退院と意図的なサボりも出来ない状況をカーチスは憂いた。

また、親友であり部下でもある立場とは相反する立場になった事も理解していた。

だがカーチスは共犯者と言える立場になったロイの想い人であるマリアに協力を願った。

「やる気とご褒美の為に、1時間だけでもロイとティータイムをして欲しいの」

そういうカーチスの願いに対し、マリアは意図を見抜いた様な意味深な笑みで快諾した。

そして、それをカーチスから提案されたロイは想像以上のスピードで仕事を終えた。

また、その顛末を聞いたホークアイは共に二人を監視している状況も忘れてただ呆れた。

だが、ロイを常に優先するカーチスは、今回の顛末は何度でも使える有効策だと思った。

「やっぱり、ロイのサボり癖を直すにはマリアちゃんの協力が必要かしら」

とカーチスが現状と互いの立場を忘れたといえる言動に対してホークアイは戸惑った。

ロイを裏切った立場でもただ守り続けようとするカーチスの変わらぬ言動に対して。

そして、ロイを裏切ってでも守り続けるカーチスの事がホークアイは理解できなかった。

また、カーチスもそのようなホークアイの心情を理解する事も察する事も出来なかった。

故に、カーチスは昔と変わらぬ態度で言葉を返さないホークアイに名で問い掛けた。

「ホークアイ中尉?」

「……カーチス少佐はそれで良いのですか?」

「え?」

「大佐への想いは、今のままで満たされるのですか?」

そうホークアイに問われたカーチスは慈愛に満ちたまなざしと相反する苦笑いを見せた。

「……私はロイの幸せが最優先だし、ロイが幸せになる以上に嬉しい事は無いわ。それに、ロイがロイである為には、他国への亡命や籠に囲う事は論外だと思うから」

「では、カーチス少佐は『勝利』した後はどうするのですか?」

「それは考える事が出来るようになったら考えるわ」

というカーチスの答えに対し、ホークアイは疑った事を恥じる様にただ苦笑った。

また、ロイを裏切っていた事を知られてからは久方ぶりの会話だとカーチスは気付いた。

それ故に、ロイの背中を預かっているホークアイに訊ねる様な視線をカーチスは向けた。

その様なカーチスの視線に対し、ホークアイも変わらぬ態度で肯定する様に答えた。

「……本当に大佐は人に恵まれすぎですね。カーチス少佐の様な道標となる存在と将来どころか全てをかけてでも生かそうと思ってくれる想い人も居るのですから」

「……まあ、マリアちゃんとはエルリック兄弟の問題が解決しないと恋人にはなれないけど、ずっと味方では居てくれるだろうし、私もホークアイ中尉をはじめとする『マスタング組』が居る事も忘れていないわ」

そうカーチスが軽口の様に答えた言葉の意味を察したホークアイはただ頭を下げた。

「……どうかこれかも大佐の事もよろしくお願いします」

「ええ、任せてちょうだい、ホークアイ中尉。私も全てを懸けてロイを守り通すから、必ず生きて『集結』しましょう?」

とホークアイに応えたカーチスは頭を下げる事ではなく前進を優先する様に問い返した。

また、ホークアイも自らの務めを果たす為、頭をあげてから再決意をする様に肯定をした。

「はい」

 

 

 

 

 

今回と昨日のSSはマスタング組がバラバラになり、ホークアイがセリムの正体を知ってから数日から数週間後を想定しています。

一応、サイトにて氷炎の錬金術師とエドの双子の妹というオリキャラのSSをUPする前から原作での立ち位置と経緯はある程度想定しています。

ただ、原作沿いを1話から最終話までUPするとなると……色々と問題がある為、それぞれのキャラ紹介ページにて軽いネタバレ程度には書いています。

なので、立ち位置や経緯が気になる、という方には対応できているかと。

また、原作内のここでの立場と経緯が気になる!というリクエストが有れば、ピックアップ的な短編としてサイトにUPする事も可能かと。

私的には「ここ!」という場面が多すぎるので、リクエスト等で「ここ!」という場面を絞って頂けるとUPがしやすいかと。

そして、明日からは玄花のSSをはじめに三国恋戦記の更新を予定しています。

……昨年での艶度や甘さは控えめなSSになりそうですが、お付き合い頂ければ、と。