「カゴの鳥」ロイ×エドの双子の妹

「やる気とご褒美の為に、1時間だけでもロイとティータイムをして欲しいの」

そうエドの双子の妹であり共犯者となったマリアに氷炎の錬金術師が頼んできた。

氷炎の錬金術師がロイを守る為に敵対する事を選んだ知った後だったマリアは快諾した。

それは氷炎の錬金術師の内心を知るためだったが、その行為も杞憂だったと察した。

それ故に、マリアもロイ同様に短くも貴重と言える時間と会話を楽しんだ。

「大佐さんは籠の鳥に興味がありますか?」

そうマリアから問われたロイは少しだけ目を見開いてから苦笑った。

籠の鳥という言葉が今のロイとマリアには決して縁遠くない言葉だと気づいたが故に。

「君に閉じ込められるなら、それはそれで楽しいかもしれないが、私的には君を籠に閉じ込めたいな?」

「そんな束縛は嫌われるかもしれませんよ?」

というマリアの問い返しはロイが意図的に話題を変える事に気付いたが故に厳しかった。

それ故にロイはマリアの髪にくちづけるような近距離になってから囁く様に問い返した。

「あのプライド相手の交渉が成功するような女性だからこそ、想いを寄せる者としては少しでも安全な場所で心安らかに居て欲しいと思うのだがね?」

そうロイから艶めいた声で囁かれたマリアは鉄壁といえるニッコリという笑みをみせた。

「でも、それで心安らかになるのは私ではなく、大佐さんですよね?」

「お互いの為にならないかね?」

「ええ。ただ籠に閉じ込められて守られるだけなんて、私は納得が出来ません」

というマリアの答えが、彼女の現状と立場だと思ったロイは真摯な声で提案をした。

「そうだな……では、私の加護の鳥となってくれないか?」

「……私に人を加護する力なんてありませんが?」

「君から愛される想いを貰えれば加護以上だと思わないかい?」

そうロイに問い返されたマリアは、今までの会話の意図も忘れたかのようにただ呆れた。

「……真面目に答えた私が馬鹿でした」

「私が君に求める想いはいつでも本気だよ」

「でしたら、その色ボケた頭を少しでもクリアにしてください。それに私は大佐さんの告白やプロポーズは常に断り続けているんですが?」

と問い返したマリアは、ロイの度重なる執拗な誘惑と告白をバッサリと拒絶した。

だが、互いの想いが一緒だと知っているロイは、マリアの肩を抱き寄せてから再び囁いた。

「では、約束の日に勝利した時はキスのご褒美でもくれるかい?」

「……」

「君が私の告白やプロポーズを断っているのは、兄弟を思っての事だろう?」

そうロイから囁く様に問い続けられたマリアは、意図的な沈黙でない答えを言葉にした。

「そこまでわかっているなら、私は何も言いません……いいえ、言えません」

「だからこそ、私が君の憂いを断つから、君は確実に守れる籠に居てくれないか?」

「それを了承する女性が良いのでしたら、他の方にしてください。私はただ守れる事を厭ったからプライドにも交渉しましたし、今の状況でも足掻く思いを保っているんです」

というマリアの決死の決意を聞かされたロイは互いの距離を離してから再び苦笑った。

「……本当に君は私でさえも籠に収めてしまいそうだな」

「ええ。お兄ちゃんが借りを作り続ける様に、私も大佐さんを離す気はないですよ?」

そういうマリアからの少しも甘くない決意表明が、ロイには極上の甘い告白だと思った。

そして、ロイのその様な反応に対し、マリアは意味深で少女らしくない笑みを見せた。

それ故に、ロイはマリアからの可愛い反応を少しだけ期待する様な問いを返した。

「そこまで愛されるのは嬉しいが、何故、そこまで想ってくれるのに告白も断わるのかね?」

「今更、そんな事を聞いても無駄だと思いませんか?」

と問い返したマリアの笑みは言葉以上の棘があったが、ロイはただ綺麗だと見惚れた。

そして、恋に溺れきっているロイ自身の想いとマリアとの進展の困難さをただ苦笑った。

 

 

 

 

 

……両片想いの当事者である二人だけの会話なのに甘くなりませんでした(遠い目)

いえ、エドの双子の妹は書きやすいのですが、甘い会話を目指しても達成できないので……

恋愛モノを書く際は一番書き辛いキャラなのかもしれません。

というか、ロイが甘く囁いても婚約者未満なら鉄壁の微笑みで冷静に拒絶し、婚約者となっても甘い反応よりもサラリと受け入れながらも反撃する方が有り得そうですし……

……と、とりあえず、明日は鋼の錬金術師でホークアイと氷炎の錬金術師(オリキャラ)のSSになる予定です。

また、今回のSSで氷炎の錬金術師がエドの双子の妹へしたお願いの経緯も書いています。