ヒイロとリリーナが結婚した事を知ったドロシーは多忙ながらもすぐに電話をした。
また、意図的にヒイロを不在にしたドロシーは昔の様な気安い口調でリリーナに問うた。
「リリーナ様は籠の鳥がお好きなのですね」
「……ドロシーは私が『ピースクラフト』を名乗った理由も知っているのでしょう?」
そうリリーナに問い返されたドロシーはあえて言葉を返さなかった。
否、その続きを確認したかったドロシーの意図も見抜いたリリーナもあえて言葉にした。
「私は聖女ではありません。ただ、ヒイロが人を殺さずに居られる世界を願っただけで、それが叶った今、私が望むモノはヒイロだけです」
「ええ、そうですわね。でも、だからこそ、私もリリーナ様が大好きなのですわ」
というドロシーの懐かしい口調と同意が嬉しかったリリーナはただ感謝を言葉にした。
「……ありがとう、ドロシー」
地球圏の大統領となったドロシーからの急な命令で、カトルはヒイロを引き留めた。
正確に言えば、共に『仕事』を終えたヒイロに対し、カトルが意味深な問いをした。
「……ヒイロは『今』のままで良いの?」
「俺は籠に囚われたとは思っていない」
「でも……」
そういうカトルが心配していると察したが故に、ただヒイロは自身の主張を言葉にした。
「俺は自分の意志でリリーナとの生活を選んだ。そして、リリーナが自身の選択で『ピースクラフト』の名を捨てたように、オレも『ヒイロ・ユイ』の名を捨てた」
「……」
「カトル。オレ達は互いに『今』を望み、籠の鳥になったと俺は思っていない」
「……ごめん、ヒイロ。『今』は幸せ、なんだね?」
というカトルの問いを聞いたヒイロはいつもの様に言葉も返さなかった。
しかし、それがヒイロにとっては肯定であり、普通だと知るカトルは笑顔になった。
「今度、とっておきのお店を紹介するから、リリーナさんと楽しんで」
「……ああ」
そうカトルに答えたヒイロはこれ以上の会話は必要ないとでも言う様に背を向けた。
そして、命令と自身の疑念を一緒に解消したカトルは、ただ紹介する店を楽しげに考えた。
遅い時間となりましたが、今年もサイト開設記念小説の連続更新を開始しました。
今年は「かごの鳥」の「かご」をそれぞれ違う漢字に変換をしてみました。
また、連続更新のスタートは今年もヒイリリからとなりました。
一応、続編小説のネタバレがメインなので、未読の方には……意味不明かもしれません。
ただ、ヒイリリがお好きな方にはヒイロ&リリーナ至上主義者的におススメな続編です!
あと、当初はアナザーエンドの捏造を考えたのですがそのエンドに至るルートを考えきれず、このような形となりました。
そして、明日はアルムディア(ファンタスティックフォーチュン)の更新を予定しています。