6例え私がいなくなっても、笑ってくれますか

ガンダムWの新作小説『フローズン・ティアドロップ』のネタバレが多く含まれています。

 

 

 

 

 

ヒイロとの短い再会を終えたリリーナは、割り当てられている病室に戻ってきた。

そして、自嘲する様な笑みを浮かべたカトルが、リリーナの帰りを待っていた。

それ故に、リリーナはカトルへの喜びと感謝の意味を込めた微笑みと言葉を返した。

「……ヒイロとの再会を整えてくれて、ありがとう、カトル君」

そうリリーナに告げられる事を予測していたカトルは、やはり自嘲する様に微笑んだ。

「……いいえ、ボクたちは『敗北』を選ぶ事しか出来ませんでしたから」

「……そうですか。でも、私はあの時の選択を『後悔していないのか』と問われれば、何度でも肯定します」

と言い切るリリーナの強さを、カトルは眩しいと思い、つい瞳を伏せながら苦笑った。

「……本当にリリーナさんは強い人ですね」

「いいえ」

そう否定をしたリリーナは、驚くカトルとは対称的な落ち着いた口調で淡々と答えた。

いや、リリーナは自身の深い想いと決意を静かに言葉にした。

「私はただヒイロに生きて欲しかったから……そう願ったから、後悔がないだけです」

「リリーナさん……」

「ヒイロがそれを受け入れてくれるかはわかりません。ですが、私は常に願っているのです。ヒイロが自分の為に生きてくれることを」

というリリーナのヒイロに対する想いは、カトルに深い愛情と哀しみを感じさせた。

それくらい、リリーナの想いは強くも悲壮なものだったから。

しかし、リリーナもそれを自覚しているが故に、自嘲する様な笑みを浮かべなかった。

「……ヒイロが笑顔でいられる世界を私はつくりたかった。でも、私にはそれを願う事は出来ないのかもしれません」

「リリーナさん?」

「私はヒイロに助けられてばかりなのに、ヒイロに願うことが多すぎて……きっと、ヒイロには迷惑ばかりをかける女だと思っているのでしょうね」

そう告げるリリーナの言葉は、自身とヒイロの深い想いを理解していなかった。

いや、そうであるが故に、リリーナはリリーナとして存在しているのだろう。

それ故に、カトルはあえてリリーナに理解を求める事なく、ただ答えを言葉にした。

「……そうでしょうか?」

そうカトルに問い返される事が想定外だったリリーナは無言で続きを求めた。

意外なリリーナの鈍さと変わらぬ自身への無理解に対し、カトルは自然な笑みで答えた。

「ヒイロはシンプルな人です。だから、貴女を守ると誓ったというなら、それはヒイロにとって『正しい』はずですから」

「カトル君……」

「ボク達は負け戦には慣れています。だからこそ、ボク達は戦い続けられます。だから、リリーナさんも闘ってください。そして願ってください、貴女の『願い』を叶える為に」

というカトルの言葉は、リリーナの背と思いを強く後押した。

それ故に、リリーナはカトルに対して、更なる感謝の言葉と満面の笑みを返した。

「……ありがとう、カトル君」

 

 

 

私的にはヒイリリ以外で書きやすく、かつ二人にお節介をしそうなキャラはカトルです。

貧乏くじを引きやすいデュオも世話好きだと思うのですが、カトルの方が書きやすくて。

いえ、もしかすると、ヒイロやリリーナ嬢よりもカトルの方が書きやすい……

いえいえ、カトルは書きやすいですけど、ヒイリリ以上の興味も萌えもないので。

あくまでも、カトルはヒイリリ前提だと書きやすく、書きたい、でしょうか?

 

 

 

 

 

護りたいあなたへ捧げる10のお題 (2)配布元「疾風迅雷」