志と恋心 第6話「覚悟~結末~」

人気が無い、来訪者も少ない学園の片隅にある教室で、土方と薫が密談をしていた。

「……本当にコレで良いんだな?」

「ああ。あとはおまえと平助に監視を頼むだけだ」

そう土方から告げられた薫は、なぜか答えようとせずに、ただ迷う様な戸惑いを見せた。

それを不審に思った土方が意図を確かめようすると、薫はだ戸惑う想いを言葉にした。

「本当にこれで……」

「今更、自分の選択を後悔してるのか?」

「俺は……千鶴の幸せを願っただけだ」

という薫の主張は、土方と同じだった。

否、ある意味では薫以上であり、全てを賭しても良い願いでもあった。

「ああ。ココに千鶴の『幸せ』はない、からな」

「……」

「あとは千鶴のサインだけだから……説得は頼んだぞ?」

「……最大の難題をこっちに任せるんだから、大丈夫だよな?」

「ああ。俺はこれから雪村千鶴と関わる事はねぇし、今後もだ」

そう土方が答えると、薫は迷いを隠さずに、二人だけで準備をした書類を持って退室した。

 

 

 

そして、土方と薫が密談をした日の放課後。

千鶴の教室にあわてた様子の沖田と斉藤が現れ、屋上へと誘った。

そして、沖田らしくない、あわてた口調でいきなり千鶴に同意を求めた。

「本当にあの人って馬鹿だよね! 千鶴ちゃんもそう思わない?」

「本題を話さなければ、千鶴から同意は得られないと思うが?」

「……土方さんが動かれたんですか?」

という千鶴の問い返しは昔以上に的確で、沖田は常とは違うあわてた様子で肯定をした。

「そう、そうなんだよ、千鶴ちゃん! 土方さんが南雲と手を組んで、千鶴ちゃんを全寮制の女子校に転入させる気なんだよ!!」

「え……」

「驚くのも無理はないし、知らせるのが遅くなってすまない」

「でも、こういった企みが得意な土方さんと、陰湿で周到な計画が得意な南雲に組まれたら、山南さんでもリークが無ければ無理だよ」

そう沖田と斉藤が話し合う、否、言い合うのをあえて止めた千鶴は、状況を確認した。

「……止められる時間はありますか?」

「最終の手続きには千鶴の直筆のサインが必要らしい。南雲から書かされてはいないだろう?」

という斉藤の答えから状況を理解した千鶴は、状況を打開する為の情報を二人に問うた。

「……土方さんは何処に居ますか?」

「今日は山南さんの代わりに保健室で留守番をしているらしい。故に今が好機だ」

「……わかりました」

「人払いもしてあるから、存分にあの人を止めてやってね、千鶴ちゃん」

そういった沖田は、いつもと変わらぬ飄々とした口調で千鶴の背を押した。

そして、その様な沖田の言動をとがめる事が多い斉藤も、今回は千鶴の背を押した。

「幸運と成功を祈っている」

「はい! 有り難うございます!!」

そう沖田と斉藤に答えた千鶴は、全速力で保健室へと向かった。

そして、保健室のドアもノックをせずに入った千鶴は、土方を見つけたと同時に叫んだ。

「いい加減にしてください!」

 

 

 

 

 

……次回は第1話に書いたラストの展開からはじまります。

その後に甘い会話はあるのですが、当サイト比なので……

激甘な展開はお約束が難しいと思われます。すみません!