養父と共に過ごした実家で医師として暮らし始めた千鶴の元に風間が現れて二週間。
風間と千鶴が二人で過ごす生活は、共に蝦夷まで至った旅よりも穏やかに過ぎていた。
しかし、風間は千鶴を迎えに来たが、千鶴は風間への『おもい』がわからなかった。
そして、風間もそれに気付いていたが故に、千鶴の鈍さに溜め息を吐きつつも助言した。
「我が妻は思慕と恋慕の違いもわからぬようだな」
「……どういう意味ですか?」
そう風間に答える千鶴は、相変わらず無防備だったが故に、風間はただ千鶴を抱き寄せた。
そして、戸惑う千鶴の腕を露わにした風間は、その腕に痕が残るくらい強くくちづけた。
「俺からこのように触れられる事に戸惑いはないのだろう?」
「……」
「新選組にいた者達から、このように触れられたら……どう思う?」
と問い続けられた千鶴は、風間の意図が全く理解する事が出来なかった。
しかし、風間の意図とは違い、自身の『おもい』だけは理解できていた為に即答した。
「戸惑います」
「それは恋慕を向けられた、と思うからか?」
「……いえ、私が受け入れられないから戸惑います」
そう戸惑いながらも自身の『おもい』は理解している答えを聞いた風間は千鶴を解放した。
「……わかってはいるようだな。ならば、後は己で『答え』をみつけろ」
という風間が告げた言葉は、千鶴の不可解だった『おもい』の形を明確にした。
それ故に、千鶴は風間からの求婚と自身の『おもい』にこたえる道筋も明確に自覚した。
「……有り難うございます」
「俺が寛大な夫で良かったな、千鶴?」
そう風間が尊大な口調で問い返した為、千鶴は再び正確な事実を言葉として即答した。
「それにはまだ応えていません!」
風間さんと土方さんはSSL設定でない捏造SSとなっています。
いえ、風間さんと土方さんのSSL設定で書こうとすると……ネタがダダ漏れとなる為、
あえて幕末(明治?)の設定での捏造SSとなりました。
ただ……風間さんのネタはギリギリまで出来上がらず、かなり四苦八苦しました(遠い目)