原田が翌日の授業で使う資料の作成を千鶴は好意から手伝った。
そして、その様な千鶴に気遣いに対し、原田は感謝から私的なお節介を焼こうとした。
「本当におまえは一途だな。今なら相手は選び放題だろ?」
「……」
「確かに前世からあの人への想いが強いのも今も魅かれ続ける理由もわかるが……縛られるのは互いの為じゃないだろ?」
そう原田に問われた千鶴は、作業を途中で止めると、真っ直ぐな視線と共に答えた。
「私が好きだった理由は支えたい、そして叶うなら傍を許してほしい、という恋慕でした」
「……」
「でも、今は少し違うと思います。現世でもあの人は優しく、人を思うが故に厳しく、誰よりも率先して重荷を背負う人だから、一緒に背負いたいんです。あの頃は傍に居るだけで精一杯でしたから」
という千鶴の答えは、原田の想像を超えるモノだったが、ある意味では想定内だった。
いや、前世から『雪村千鶴』を知る者にとっては、という意味ではあったが。
そして、そのような千鶴だからこそ、原田達は誠の思いも託したのだと再確認した。
「……本当におまえは良い女だな、千鶴」
「原田さんにそう言って頂けるなんて光栄です」
そう原田に答える千鶴の笑みは、生徒ではなく支えるモノを持った『女』の笑みだった。
それ故に、原田は苦笑いつつもその笑みへ答える様に、千鶴の頬に自身の唇で触れた。
その様な行為を想定もしていなかった千鶴は、原田の好意にただ戸惑った。
そして、その様に戸惑う千鶴の表情は、先程の笑みが嘘の様な年相応だと原田は思った。
「頬へのキスは厚意という意味だそうだ。あ、でも、あの人には内緒だぜ?」
と原田に告げられた千鶴は、悪戯を誤魔化す少年めいた笑みに対して再び微笑んだ。
原田さんは恋愛関係にならずとも、沖田さんとは違う意味でスキンシップが多そうです。
しかも、本人には悪意も害意もなさそうだというイメージも有ります。
というか、千鶴嬢の一途さとは裏腹に、逆ハーが成立していますよね……
こういう展開もアリだと私は思うのですが……色々なご意見を頂ければ、と思います。