4いつだって約束は守ってきたでしょう?

リリーナが大統領選に立候補した時、ヒイロは一時的なボディ・ガードなった。

そして、多忙を極めるリリーナの護衛として、ヒイロは休憩時も行動を共にしていた。

そのような多忙の中、急に空いた時間が出来たリリーナは、ヒイロの元に訪れた。

しかし、共に居たとしても、ヒイロとリリーナには会話らしい会話はなかった。

いや、リリーナが一方的に話しても沈黙であっても、ただ側に居るだけで良かったのだ。

だから、最後となるかもしれない休憩中、リリーナはあえてヒイロへと問いかけた。

「ねえ、ヒイロ。私が大統領となった後も『隣』に居てくれませんか?」

「……護衛の仕事だけではなく、秘書まで務めろと?」

「……確かに、ヒイロなら秘書も簡単に務まるとは思うけど、私が言いたい事とは違うわ」

と問い返すリリーナは、ヒイロの答えや論点のすり替えを想定していた。

だから、リリーナはそれを許さないという想いを込めてヒイロを真っ直ぐに見た。

そんな強い視線で答えを強要するリリーナに対し、ヒイロは素直な言葉を口にした。

「……おまえが求める事は、俺には出来ない」

「そう思い込みたいのはヒイロだけではなくて?」

「……」

「まだ……なのですね」

そう言ったリリーナは、素直な悲しみと恋情に満ちた表情をみせた。

そんなリリーナの素直な想いを見たヒイロは、言葉を訂正するように口を開こうとした。

しかし、リリーナは表情を変える事なく、ただ、ヒイロの唇に人差し指を当てた。

「……いいえ、ヒイロ。あなたが思いを変えないと意味はないの。だって私は欲深いから」

「……」

「私は、ヒイロと出会った時から、いつでも隣に居て欲しい、そう願っています。それに、私はただヒイロが隣に居るだけではなく、『希望』でもあって欲しいの」

「……希望?」

「ヒイロは私に希望を与えてくれた。でも、それは私だけではないわ」

というリリーナに対し、唇にあった指を強引に除いたヒイロは、強くも静かに否定した。

「……おまえと俺は違う」

「何が違うというの? ヒイロは私にいつも希望と生きる力を与えてくれたわ」

そうリリーナに言われたヒイロはあえて言葉を返さなかった。

いや、ヒイロが現状で言葉にすべき言葉がない、という思いを込めた視線で返した。

その視線の意図に気付いたリリーナは、悲しげに瞳を閉じながらヒイロに問い返した。

「……まだなのですね。でも、私に応えてくれるなら『約束』をくれる?」

「約束?」

「ええ。いつか『私の隣』に立ってくれると」

「……出来ない約束をさせるのか?」

と、ヒイロはリリーナに対して冷たいともいえる強い視線と共に答えた。

それを受けたリリーナは、ヒイロらしいといえる雄弁な視線に対して微笑みを返した。

「……そうね。私との約束をいつも破るのはヒイロの方だったわ。でも、私は信じています。あなたがいつも隣に居てくれる未来を」

「……」

「それに、ヒイロは私を守ってくれるのでしょう?」

そう問われたヒイロは、再びリリーナに対して沈黙を返した。

しかし、それが否定でも拒絶でもないと思ったリリーナは、ただ年相応な笑みを返した。

「……ありがとう、ヒイロ」

 

 

 

再び『Endless Waltz』の後日談です。

OVAと映画と小説では、メディアの違いか、リリーナ嬢とヒイロのその後は様々ですが、リリーナ嬢が地球圏統一国家の大統領選に立候補した場合を想定しました。

そうなった場合、ヒイロは一時的でも、リリーナ嬢のボディ・ガードを務めるのではないかとも思いました。

個人的願望では、そのままリリーナ嬢と結婚まで突っ走って欲しいですが、原作では望みが薄いというか、続編の『フローズン・ティアドロップ』があのような展開なので……

せめて妄想(斜線)いえ、想像だけでも、甘い二人な会話が欲しいのです!

……といっても、当サークルのヒイリリだとこのSSでも、かなり限界です(涙)

 

 

 

 

 

【主と護衛Ⅵ】5のお題 お題配布元:starry-tales