くちづけ~翼花~

身長差から、翼徳が花にくちづける場所は額が多かった。

それを花が指摘すると、翼徳はどこにくちづけて欲しいかと尋ねた。

そして、言葉にする事に恥じらいがあった花は、翼徳の唇に自身の唇で触れた。

その様な花の言動が気に入った翼徳は、花からのくちづけを強請るようになった。

「はーな?」

そう翼徳が甘えるような口調で、花の名を口にした。

しかし、花は翼徳に答えず、ただこの場を切り抜ける様なあいまいな笑みを返した。

その笑みを見慣れた翼徳は、ただ拗ねる子供の様な真っ直ぐな瞳で花に問い続けた。

「花は俺にくちづけるのが嫌いなの?」

「ち、違います!」

という言質を取った翼徳は喜び、花は自身の失言を撤回してこの場から逃れようとした。

だが、ただ恥じらい故に困っている事も花の愛情を疑ってもいない翼徳はただ強請った。

「じゃあ、今日はしてくれるよね?」

「……わかりました」

そう応えた花は、身を屈めた翼徳の頬に軽く唇で触れた。

その様な花の中途半端なくちづけに対し、翼徳はただ拗ねた。

「え、場所が違うよ!」

「場所の指定は有りませんでしたから!」

と答えた花は、予想外の展開で気を緩めた翼徳からすぐに逃げるように去った。

だが、その様な花の逃げ足は、翼徳が追いつける速さと距離だった。

しかし、花から確実に強請る方法が思いつかない翼徳は、ただ残念な想いを吐露した。

「うーん、失敗。今度は場所を指定しよう!」

 

 

 

 

 

……このSSにおける翼徳さんは『表』なのか『裏』なのかがわからないまま書きました。

なので、どちらかは読まれている方にお任せします。

また、このSSは三国恋戦記の中では比較的甘く仕上げる事が出来たかと。

ええ、艶度が高くなる方が三国恋戦記では多いので(遠い目)

それがキャラクターの所為なのか、私の書き方が問題なのか……その判断は難しいですが。