くちづけ~玄花~

新婚という言葉が過去となった頃、花は夫である玄徳を誘う様に問い掛けた。

「もし、私が玄徳さんの全てが欲しい、と言ったらどうしますか?」

「……どうしてそんな事を?」

そう玄徳が疑問に思うくらい、花は自身の感情や欲を上手く隠していた。

それは花の師匠である孔明の影響と、控えめな態度で玄徳の事を優先していたから。

それ故に、玄徳は花の発言の意味を考えたが、花は玄徳を誘う様にくちづけてから告げた。

「一夜でも良いんです。玄徳さんが私だけのものだと……」

という花の率直な誘いに対し、玄徳はただ反射的に貪る様なくちづけをした。

「確かに『劉玄徳』という人間に『個人』はないかもしれない。それに譲れない『志』も有る。たが、おまえだけを求める心が有る事も『事実』なんだ。だから、そんな顔をするな」

そう玄徳は激しいくちづけの後で言ったが、花は誘う様な艶やかな表情でただ吐露した。

「だからこそ、です」

「え?」

「ただ、玄徳さんに求められるだけでは満足できない、という私は嫌いですか?」

という花の言葉を聞いた玄徳は、ようやく花の想いに気付いたが故にただ玄徳は俯いた。

その様な玄徳の反応は予測していなかった花は、ただ気遣う様な視線を向けた。

その視線に気付いた玄徳はすぐに俯いていた顔をあげてから、ただ花をまっすぐに見た。

「いや、想いや欲というものには本当に際限が無いのだな……俺も俺だけを求めるおまえも欲しい」

そう玄徳に告げられた花は、嬉しさよりも艶やかさを感じさせる蠱惑的な笑みを見せた。

その様な花に対し、玄徳も出来るだけ抑えていた欲と想いをぶつける様にただ抱いた。

 

 

 

 

 

三国恋戦記のSSは……はじまりから艶度が高いSSとなっています。

いえ、玄徳さんと花ちゃんの可愛い小話を考えていたのですが、

とある曲から妄想したら……このようなSSに仕上がりました(遠い目)