完全平和へと向かう地球圏で、再び戦乱の火種が世に出ようとしていた。
そんな火種の消し方を、ヒイロはリリーナの手を借りつつも見つけ出した。
そして、それを収束させる為に、ヒイロは戦場へと向かおうとした。
「ヒイロ、またガンダムにのるのですね」
そうリリーナに問われたヒイロは、背を向けたまま、ただ歩みを止めた。
そして、リリーナに対して振り返る事なく、ヒイロはただ答えだけを言葉にした。
「ああ。ウルカヌスは誰の手にもわたしてはいけない」
「私が無力なばかりに、いつもあなたに頼ることになって……」
と言いながら、リリーナは静かにうつむいた。
自分の力不足と無力さを思い知らされるのはいつのころからだったか……
そんな思いが、リリーナの言動から溢れていた。
そんな態度を気配で察したヒイロは、リリーナの言葉を訂正するように短くも否定した。
「リリーナ、それは違う」
そう言われたリリーナは俯いていた顔を上げた。
それから、リリーナは無言でヒイロに続きを求めた。
その気配も察したヒイロは、断言するようにリリーナに応えた。
「ガンダムでは真の平和を生みだせない。地球の平和に必要なのは……おまえたちのような者だ」
と、ヒイロに言われたリリーナは、己の不足に迷う心のうちに光明を見つけた。
と同時に、リリーナはヒイロの言葉を深く受け止めた。
そして、リリーナは決意をした事を更に再確認するように、ヒイロの名を言葉にした。
「ヒイロ……」
「おまえにオレが必要になったときには……もどってくる」
そうリリーナに告げたヒイロは、再び歩きだしながら去って行った。
そんなヒイロに対し、リリーナはキレイな笑みと共に、想いを込めた視線を返した。
「……はい、お願いします」
今回も前回と同じ時間軸の別のコミックス『BATTLEFIELD OF PACIFIST』(1997年発行)のワンシーンをベースにしています。
このコミックスはTVシリーズから関わっている方々の作品なので安心して萌えられます。
また、副題の日本語名は『平和主義者達の戦場』だそうで、初めて書いた同人誌(ヒイリリメイン)の主軸に近い為、密かに燃えたコミックスでもありました。
はい。サイトにも加筆して掲載中の『MIND EDUCATION』の事です。
もし未読の方がいましたら、GW(ヒイリリ)のカテゴリのシリアスにある掲載小説か、過去作品の再録した『再録本』を読んで頂ければ、と。
いえ、今回のSSとの関連はないのですが、興味を持ってくださった方は是非。
【主と護衛Ⅵ】5のお題 お題配布元:starry-tales