「あなたの幸せを教えて頂けませんか?」
そう問われたオレは、言葉を失った。
そして、答えるどころか、声も失ったオレを、リリーナは静かに待っていた。
いや、リリーナは予測済みだったんだろう。
オレの動揺を驚く事もなく、受け入れるように、リリーナは静かに微笑んでいたから。
なぜ言葉を失ったか。
そう問われても答えられないだろう。
その理由さえ、オレはわからなくなっていた。
そして、リリーナの意図もわからなかった。
「ヒイロの笑顔が見たい」
「ヒイロの幸せを教えて欲しい」
リリーナの言葉はいつも唐突で、意図もわからない事が多い。
そして、今、問われた意味も、答えも、オレにはわからなかった。
ただ、そう問われた時、心に浮かんだのは願いだった。
リリーナが幸せとなる事を。
それが叶う世界となる事を。
そのような願いを願える資格がない事も、矛盾も承知で、ただ願っていた事を。
その願いがどういう意味なのか、オレには名付ける事は出来ない。
いや、オレには理解できなかった。
それでも、オレには譲れない、確かな願いなのだ。
ならばリリーナ、おまえには理解出来るのだろうか、この願いを。
「ではリリーナ、この願いの名を、おまえは知っているのか?」
切ない恋愛お題(2)お題配布元:疾風迅雷