9 この理由を教えてくれないか

「あなたの幸せを教えて頂けませんか?」

 

そう問われたオレは、言葉を失った。

そして、答えるどころか、声も失ったオレを、リリーナは静かに待っていた。

いや、リリーナは予測済みだったんだろう。

オレの動揺を驚く事もなく、受け入れるように、リリーナは静かに微笑んでいたから。

 

なぜ言葉を失ったか。

そう問われても答えられないだろう。

その理由さえ、オレはわからなくなっていた。

そして、リリーナの意図もわからなかった。

 

「ヒイロの笑顔が見たい」

「ヒイロの幸せを教えて欲しい」

 

リリーナの言葉はいつも唐突で、意図もわからない事が多い。

そして、今、問われた意味も、答えも、オレにはわからなかった。

 

ただ、そう問われた時、心に浮かんだのは願いだった。

リリーナが幸せとなる事を。

それが叶う世界となる事を。

 

そのような願いを願える資格がない事も、矛盾も承知で、ただ願っていた事を。

 

その願いがどういう意味なのか、オレには名付ける事は出来ない。

いや、オレには理解できなかった。

それでも、オレには譲れない、確かな願いなのだ。

 

ならばリリーナ、おまえには理解出来るのだろうか、この願いを。

 

「ではリリーナ、この願いの名を、おまえは知っているのか?」

 

 

 

 

 

切ない恋愛お題(2)お題配布元:疾風迅雷