仕掛けられたトラップにより、ヒイロはリリーナと思いがけない再会をした。
遅くとも、トラップを完全に理解したヒイロは、迫力のある無表情でリリーナを見た。
しかし、リリーナはそんな変化に怯える事もなく、笑みを絶やさなかった。
「私を探してくれてありがとう、ヒイロ」
「……カトルとドロシーか?」
「ええ。お二人に協力して頂きました。ヒイロ、あなたに知って欲しかったから」
と答えられたヒイロは、すぐに部屋から立ち去ろうとした。
しかし、そんなヒイロを強くひき止めるようにリリーナは語調を強めた。
「トラップの事は謝りますが、その経緯はヒイロの所為でもあるのよ?」
「……おまえ達の遊びに付き合う気はない」
「私は本気です」
そう言われたヒイロが否定をしようと振り返った時、リリーナの視線が交わった。
そして、リリーナの瞳の強さにヒイロは言葉を失い、立ち去る機会も失った。
「ヒイロ、私は……」
と言われたヒイロは、リリーナの言葉を遮るように冷たくも短く答えた。
「リリーナ、オレには恋愛感情など理解できない」
「……では、ヒイロの笑顔が見たい、という私の望みは理解して頂けますか?」
「……どういう意味だ?」
「言葉通りの意味です。私はヒイロの『幸せ』が知りたいのです。勿論、私と同じ幸せを求めて欲しいとは思っています。でも、重ならなかった時は静かに身を引きます」
そこまで言われたヒイロは何も答えなかった。
だが、そんなヒイロの心情を想定していたリリーナは、穏やかな笑みを絶やさなかった。
「だからヒイロ、あなたの幸せを教えて頂けませんか?」
切ない恋愛お題(2)お題配布元:疾風迅雷