マスタング組の多くはラジオ局で後方支援という名の情報操作の為に残った。
その際、ラジオ局ではブラッドレイ夫人に状況を語ってもらった。
また、その状況説明を補足する様に、ブレタが戦況の報告も担当した。
そして、ロイは閉鎖された軍の出入り口ではない侵入ルートを選択した。
また、それに同行するホークアイとアグニは入り口まで語り合いながら向かった。
アグニがロイに語っていなかった過去とこれからの為の情報を知る為に。
そして、その様な会話を交わしつつも、ロイとアグニは道を阻む中央兵を無力化した。
「では、君も『お父様』に会った事は無いのか?」
「ええ。私が取引したのはキング・ブラッドレイだけだったから」
「……では、私達の方が手札を出せられている状況か」
「でも、私の炎の錬成はラストしか知らないわ」
そうアグニはロイに答えると、脇道からこちらの隙を狙っている中央兵に気付いた。
アグニが的確な対処をして中央兵はすぐに無力化されたと同時にロイもそれに気付いた。
そして、その様なアグニの対応は2人の錬成を見慣れているホークアイでも驚かされた。
また、その様なホークアイの態度と、アグニの能力と熟練度に対し、ロイは苦笑った。
「そうだな。私達の相互錬成はイシュヴァールで前線に居た兵士達の方が知っているだろう」
と言ったロイは、気づいた敵が1人で対処しきれないと思ったと同時にアグニを見た。
その視線を受けたと同時にアグニはロイが先制した敵を即座に無力化した。
「ええ。そうね!」
「こちらは氷で頼む!」
そうロイはアグニに告げたと同時に敵である中央兵は無力化と撤退を余儀なくされた。
その様な状況に対し、ホークアイはいつも以上に無言だった為、ロイはただ問い掛けた。
「どうした、中尉?」
「……いえ、流石だと思っただけです」
「そうかしら? ただロイとの付き合いが長くて深いだけよ」
とホークアイに答えたアグニは、目的地である研究所を確認すると同時に周囲も探った。
少し遅れてから研究所を目視したホークアイは感覚を研ぎ澄ませながら周囲を確認した。
「……例の研究所ですね」
「……入口の警備兵、気絶しているんじゃない?」
そうアグニがあえて状況を確認する様に、ロイとホークアイに視線と言葉を向けた。
それを受けたロイは同意する様に頷きながら状況を説明するような補足を言葉にした。
「……鋼のも同じルートを使ったのか」
「彼らとの共闘は久しぶりね、ロイ」
「キング・ブラッドレイ相手では足りない可能性はあるが……」
「ですが、贅沢を言える状況ではないかと」
とホークアイが常と変らぬ淡々とした的確なツッコミに対し、ロイは言葉を失った。
しかし、アグニは淡々とした口調で的確な指示でホークアイに応えた。
「じゃあ、私達も行くとしましょう、『お父様』の元へ」
「了解です、少佐」
そうホークアイはアグニの指示に従い、タイミングを逃したロイは2人の後を追った。
『約束の日』に関わるラストの展開は何度読んでも盛り上がります!
捏造小説を書いている時はもちろん、脳内で設定を考えているだけでも楽しいです。
ただ……やはり、ネタバレと捏造の説明を加減するのは難しいですね。
また、次回は『約束の日』から少し過去のマスタング組の解散時の小話になります。
何故マスタング組と氷炎の錬金術師の間に溝があるのか、
何故アグニにはロイにも語らない過去がある理由など、
少しだけ氷炎の設定を中心に捏造した原作沿いを更新します。
そして、今回の原作沿いでは、『約束の日』でのお父様との直接対決を書く予定はないです。
『約束の日の結末』が未読の方は是非、原作で確認して頂きたいと思います。
いえ、オリキャラ入りの原作沿い小説を連載するつもりでしたが、
時勢や個人事情的にもその連載は難しいと思うので、
原作沿い小説は隙間の捏造をした小説として更新していく予定です。
使用お題「親友お題3」お題配布サイト「疾風迅雷」