マスタング組が再集結する為の待ち合わせとしたのはセントラルの地下水道だった。
そして、ブレタとフュリーの後から、ホークアイその場に合流してから準備を始めた。
「大総統はいない。セリム・ブラッドレイも父親に付いて行った。動けるのは今しかない……という事ね」
そう淡々と告げたホークアイは振り返る事なく、ただブレタとフュリーに確認した。
「行くわよ。ブレタ少尉。フュリー曹長」
「いまはただの脱走兵ですよ」
「あ~~~~お先まっくらだ……」
「大佐に責任取ってもらいましょ!」
とホークアイが二人に苦笑いを見せると、唯一の出入り口の戸が開かれた。
それ故に三人は警戒したが、ブラックハヤテ号の反応からホークアイは警戒を解いた。
そして、入場者は予想していたが故に、淡々とした口調でホークアイに同意した。
「私も同意見だわ、ホークアイ中尉。それくらいの甲斐性はロイにも有ると思うから」
「お待ちしていました、少佐」
そう答えたホークアイは、アグニの立場を知ってからも変わらぬ信頼をしていた。
いや、ブレタもフュリーも理解はしていても感情は複雑だった。
そして、ブラックハヤテ号は懐かしむ様にアグニへと警戒心も無く近づいた。
その様なホークアイの言動に驚きつつも、アグニは側に来たブラックハヤテ号を撫でた。
「……ブラハを信じているの?」
「この子の反応は当然ですし、少佐は大佐の親友で『野望の道標』でもありますから」
「その二つ名は懐かしいわね。でも、私の銘は『氷炎』よ」
というアグニとホークアイの会話は、顔を合わせたブレタとフュリーを苦笑わせた。
それ故に、ブレタとフュリーはアグニへの信頼を一時的にでも取り戻す事が出来た。
そして、四人の絆が以前よりも深くなり、ギリギリの時間となった時、ロイが合流した。
「遅いですよ、大佐。置いて行っちまうところだった」
そうブレタはロイに軽い口調でロイを出迎え、ロイも合流した面々に苦笑って見せた。
「おまえの憎まれ口も、今は頼もしくてしょうが無いな!」
「……奴らに尾行をされてはいないか?」
とロイがすぐに真剣な表情でホークアイに確認と状況報告を求めた。
「それにもこの子は反応します」
「役立つ奴だな」
「まったくです」
そうフュリーが以前よりたくましくなっても穏やかさを感じさせる笑みでロイに答えた。
だが、この場に集った5人で日常的な会話と状況確認をしたロイは淡々と命令した。
そう。
互いの覚悟も確認したが故に、ロイは譲れない信念と意志を秘めた命を下した。
「今の我々が持っているのは戦場への片道切符。失敗すれば元に戻る事は出来ない。となれば諸君らが守るべき命令はただひとつ」
「……」
「死ぬな! 以上だ!」
「アイアイサー!」
そう命じたロイに対し、アグニとホークアイとブレタとフュリーはただ敬礼で応えた。
再びお休みをしてから鋼の錬金術師の連続更新を再開しました。
今回は約束の日に関連する原作沿いのネタバレが有る捏造小説になる予定です。
コミックスが未読の方は……ネタバレが満載である事を了承して頂ければ、と。
また、今回は当サイトのオリキャラ『氷炎の錬金術師』がメインとなります。
『エドの双子の妹』も登場しますが、シリアス展開が続いている今回では、
コメディ風だった紹介小説とは違う面をチラリと見せるだけになるかと。
日常的にエルリック兄弟も征する事は出来ても、辛勝と激戦といえる最終戦では……
戦力外と言える戦闘能力の為、戦闘以外でロイに助力をする予定です。
使用お題「親友お題3」お題配布サイト「疾風迅雷」