マリアを抱き寄せたまま、ロイは耳元で囁き続けた。
だが、車道にも面したテラスでの行為故に、マリアはロイの正気を疑った。
しかし、2人だけの密室での行為では、マリアがロイを問答無用で倒していただろう。
一応、大将となった武闘派の国家錬金術師であるロイの面子を、マリアは守ろうとした。
そして、その様なマリアの思いを見抜いていたロイは、ニッコリと微笑みながら問うた。
「では、私から見本をみせるとしようか?」
「……それも丁重にお断りさせて頂きます」
「何故かと聞きたくはないが……」
「ええ。マスタング将軍に任せたらキスどころではすまない、でしょう?」
「俺の想いを理解してくれて嬉しいよ」
そうロイは満面の笑みをマリアに見せながら、互いの距離をさらに縮めようとした。
それ故に、マリアはさらに激しく抵抗し、強い口調でロイに自制を求めた。
「……でしたら、大人らしく恋愛経験値が少ない乙女への配慮もしてください!」
「それは出来ない相談だな。俺は君の全てが欲しいんだから」
「だからって……」
「恥ずかしい、ではないだろう?」
とロイの問われたマリアは、返す言葉を失いつつも抵抗だけは止めなかった。
その様な半端な抵抗に対し、ロイは容易に抑え込みながらマリアの真意を確かめた。
「君は自分を乙女というが、君の反応は乙女らしかぬと言っても良いと思うのだが?」
「確かに自分が『乙女』という言葉とは縁遠いとは思っていますが……」
「では、拒む理由は?」
「丁重にお断りしているのに、何度もキスをしようとするマスタング将軍は理解できません!」
そうマリアが大声で強く拒絶した為、ロイは更に甘さを感じさせる声音で問い掛けた。
「君の意志は尊重したいが、我慢は互いに良くない、だろう?」
「これは私だけが我慢を強いられていると思います!」
「キスだけですまないと言ったのは君だろう。だから、私の我慢も理解して欲しいな」
というロイの甘言に対し、マリアはその言葉へ抵抗する様に言動を伴った拒絶をした。
「それは理解も納得もしたくありません!」
……すみません。恋愛模様がメインなSSを更新しているはずなのですが、
一般的な恋愛模様と違いすぎて独自路線という免罪符では許されない気が……
ええ。本当にこんな小説もアリだよね、と思って頂ければ、と。
使用お題「微エロ10題1」お題配布サイト「疾風迅雷」