7隠さないで(お題使用1)

いきなりロイに抱き寄せられたマリアはあからさまに体を硬直させた。

その様な反応に満足したロイは、すぐにマリアを解放するとニッコリと笑った。

その言動にマリアは不信と嫌悪を隠すことなくロイに見せた。

だが、ロイはその様な反応をスルーし、ニッコリという文字が見える笑みを向けた。

「で、キスはしてくれないのかな?」

「……罰ゲームを所望されるのですか?」

そうマリアがあからさまに拒絶する様な問い返した為、ロイは少しだけ苦笑った。

苦笑うロイを見たマリアは、不信と嫌悪に満ちていた態度を少しだけ軟化させた。

いや、ロイが求めるカードという名の交換条件に気付いたが故に。

そして、マリアがそれを察した事に気付いていたロイは再びニッコリと笑った。

「では、私を好きになった時の事を正直に告白してくれるかね?」

「……わかりました。でも、マスタング将軍には今更になると思いますけど」

「そんな事は無いよ。恋しいフィアンセが想いを告げてくれるのだから」

というロイの甘言は、マリアには嬉しさよりも不信と嫌悪を感じさせた。

そして、その様な反応を隠さないマリアの兄弟達の言動も思い出した。

「……そういう言葉をすぐに返されるから、お兄ちゃんが烈火の様に怒声を上げるんです」

「それで?」

「……仇を討ったはずの大佐さんがあまりに冷静だったから、おかしい、と思ったんです」

「……」

「しかも、余程の恨みが有ると言われ、久しぶりで加減がわからないと言っていたのに、傷心のアームストロング少佐に東部での休暇を勧めてから立ち去る事が相反していると思ったんです」

そうマリアが当時の事を思い出しながら語ると、ロイはただ素直な感心を言葉にした。

「……本当に君は聡すぎるな。だが、その状況のどこで、私への想いに気付いたのかね?」

「それはもっと単純ですね。お兄ちゃんとアルの反応と状況的に、マスタング将軍との距離を置かないといけない、と思った時、とてもいやだ、とも想ったんです」

というマリアの告白は、ロイに喜びと愛おしさと悲しさを感じさせた。

いや、マリアに想われている事を実感する事がロイは嬉しかった。

だが、その想いに答えられず、秘めさせていた時期が長くなったのは心が痛かった。

それ故に、ロイは感じた喜びと、マリアの深い理解力と判断を支持する言葉も口にした。

「……それは嬉しいな。そして、君の判断は正しかったと私も思うよ」

「そう言って頂けると私も嬉しいです。でも、マスタング将軍が『本気』ではないと思っていたから、片想いの気分だったので……あの時はとても辛かったです。お兄ちゃんとアルはもちろん、ウィンリィにも相談も話も出来ない状況でしたから」

「だが、君は私を想い続けてくれた」

そうロイに断言されたマリアは、自身の偽らざる想いを素直な言葉として伝えた。

「ええ。例え実らないと思っていても想いを止める事は出来ませんでした。それくらい、あの頃から私は本気になったんです」

「是非、これからはその想いを伝え続けてくれないかな?」

「……」

「……そんなにあからさまに『無理だ』という表情をされるのは傷つくんだがね?」

というロイの問い返しという名の確認は、マリアには返答に困る言葉だった。

いや、ロイへの想いは自覚しているし、偽るつもりもマリアにはない。

だが、ロイへその想いを言葉にする事に迷いはなくとも、行動を問われると困った。

それ故に、ロイに言葉以外を求められると、マリアはただ困惑する事しか出来なかった。

「私にはマスタング将軍の様な口説きを続けられる程の恋愛経験も適性も無いんですが?」

「……では、今までのクールな言動は素だった、と?」

「ですから、私には駆け引きが出来るような恋愛経験がないんです」

そうロイに答えるマリアは、年相応な言動だと思った。

そして、急成長も無理も求めるつもりが無いロイはただマリアに願った。

「……では、隠さない、とだけ約束してくれるかい?」

「隠さない?」

「ああ。もう私達の想いを隠す必要も壁をつくる必要性もないだろう?」

「そうですね……では、その約束は出来ると思いますが、行動までは無理ですから」

と答えるマリアは、難問を突き付けられた生徒の様に、戸惑いつつも答えようとした。

その様な、いつもと違うマリアの様子は、ロイの何かに火を点けた。

それ故に、ロイはマリアを再び抱き寄せると、マリアの耳元でロイは囁いた。

「言動は伴ってこそ、だと私は思うんだがね?」

「……初恋を実らせたばかりの乙女には無理難題です」

そうマリアは、強引なロイに抵抗しようとしたが、マリアの抵抗はロイに抑えられた。

いや、その様なマリアの抵抗が、ロイの何かを更に煽って囁く声が甘くなっていった。

「ただの恋する乙女には逆プロポーズなんて出来ないだろう?」

「無理な事は無理なんです!」

 

 

 

 

 

開き直ってからの方が控えめでも甘く書けるようになりました。

やはり、無理って心身にも書く行為にも問題なんですね。

 

 

 

使用お題「微エロ10題1」お題配布サイト「疾風迅雷」