式典が終了し、任務を終えた時、ヒイロは唐突にリリーナへ告げた。
「リリーナ、オレに『幸せ』は必要ない。地球圏の人々がおまえに『希望』を見出したから、オレはおまえを護ると誓った。だから、オレは『平和』以外を求める気も必要性も感じていない」
そう言われたリリーナは、立ち去るヒイロを呆然と見送る事しか出来なかった。
なぜなら、リリーナの直感がヒイロを追う事も止める事も尋ねる事も警告していたから。
リリーナ、おまえはそれでいい。
変わらぬおまえを、多くの人々が『希望』と思って支持をし、暮らしている。
その繰り返しが続けば、『平和』はこの地球圏に満ちるだろう。
そして、『平和』が満ちた時、おまえは『幸せ』を得られるだろう。
おまえが変わらずに生きていれば。
だが、オレにはその時の事が考えられない。
確かに『戦争』は終わった。
オレが人を殺す理由はなくなった。
だが、オレは今も拳銃を所持している。
そして、それこそが『今』を生きる俺の任務であり、償いだと思っている。
『戦争』という時代で生き抜く為に、人の命を軽んじてきた事への。
そう、その命にはオレも含まれていた。
だが、それを命懸けで間違いだと気付かせたのは、リリーナ、おまえだけだった。
己の身が血に染まっても、自分を堕とさない、それがリリーナという女だった。
それがオレ達のような存在をどれだけ救ったか、おまえは理解する事がないだろう。
だが、それでいい。
それだけが、オレの願いで『幸せ』なんだ……
切ない恋愛お題(2)お題配布元:疾風迅雷