「愛している」という言葉を、オレは理解する事が出来なかった。
ただ、リリーナがオレを必要としている以上に、オレがリリーナを必要としている。
それだけは真実で確かな事だ。
そして、その必要性は感情論とは違うだろう。
リリーナに求める事も、求められる事も、必要としていない。
ただ、リリーナという存在がこの世界で生き、思いを遂げるのを支えたいだけだ。
そこに愛や恋が存在しているとは思えない。
いや、オレにそんな想いを抱く資格も理由もない。
ただ、オレを生かす理由、それがリリーナという存在というだけだ。
もし、このような感情を愛や恋だと言うならば、オレは存在さえ許されないのだろう。
人としての生きる為の希望を、持つ事さえ許されないと言うべきか。
ならば、オレには生きる事さえ許されないということか。
……それでもオレはかまわない、オレの命は安いのだから。
いや、それこそが望みかもしれない。
リリーナという存在を失う前に死ねるのだから。
リリーナなら、オレがいつ倒れ、死んでも、この世界を護り続けるだろう。
だが、リリーナという希望を失った世界で、オレは存在する意味を見いだせるだろうか?
人として生きていく事を望む事が出来るだろうか?
その答えはわからない。
いや、考えられない。
リリーナが存在しない世界など、今のオレには想像もしたくない未来だから。
だから、リリーナ、オレではなく『世界』を選んでくれ。
それだけが俺の唯一で確かな願いだから……
切ない恋愛お題(1)お題配布元:疾風迅雷