6同じこと考えてる?(お題使用1)

逃げ道を作られたとロイとヒューズは気付いたが、ただアグニから逃げようとした。

それ程に、絶対零度の微笑みを浮かべたアグニは人として避けたいと思う程に怖かった。

それ故に、アグニをよく知らないロイは、共に逃げるヒューズに状況説明を求めた。

「……ヒューズ。なぜ俺が女性と関わる事をあんなに怒るんだ?」

「アグニはおまえが女関係で刺される事態を避けさせたいんだろ?」

「そんなミスを俺が犯すと思っているのか?」

そうロイが自信満々に問い返した為、ヒューズはただ呆れながらも突っ込みを入れた。

「……その無駄な自信の理由が知りたいよ、オレも」

「で、話に決着はついたのかしら、ロイにマース?」

とアグニに背後から声をかけられたロイは、返す言葉も反応も出来ずに固まった。

ヒューズはアグニの気配は察していた為、状況とタイミングを無言で図っていた。

その様な二人に対し、変わらぬ絶対零度の微笑みを浮かべているアグニは淡々と告げた。

「逃げるなんて単純な方法をするなら、まずは私を上回る能力を身につける事を勧めるわ」

「いや、ただ逃げたわけではないぞ」

そうロイはアグニに対して恐怖を感じつつも言い訳を言葉にした。

だが、何かを図っているヒューズはロイの様に言葉を口にしようとしなかった。

また、ロイの言い訳をただ無言で聞くアグニも無言のまま、ただ微笑みを浮かべていた。

それ故に、冷や汗をダラダラと流しながらも、ロイは状況を改善しようと足掻いた。

「そうだ、今日はファンクラブに追われたくなかったからだな……」

「……」

「おい、おまえも口を開け、ヒューズ!」

とロイは言葉を口にしようとしないヒューズに苛立ちの矛先向けた。

だが、タイミングを図っていたヒューズは、アグニの空気の変化を読んで頭を下げた。

「オレは引き際もわかる。すまん、アグニ!」

「そう。なら、後でこれを頼むわ」

そうアグニは読み通りなヒューズに対し、ロイの極秘情報の収集を交換条件とした。

その情報は以前から求められていたが、ロイを思って断り続けていた情報だった。

「! 本気かよ!!」

「引き際がわかるなら、等価交換もわかるわよね?」

というアグニの問い返しに対し、ヒューズは無言で了承する事しか出来なかった。

そして、ヒューズの答えを見届けたアグニは、ロイにも言い訳以外の言葉を促した。

「で、ロイは?」

「……すまない」

「そう。じゃあ、ロイはあそこでこっちを監視してるファンクラブの子達をお願いね」

そうロイに答えたアグニは絶対零度ではない、母親の様な慈愛に満ちた笑みを見せた。

その笑みを見たロイは先程までの生きた心地がしなかった状況から解放されたと思った。

しかし、その笑みが無償の愛情からではないとヒューズは知っているが故に抗議をした。

「おい、アグニ! それは等価交換の法則無視してる贔屓だろ!」

「だって、私はロイの『母親』だから我が子には甘いのよ?」

と答えたアグニの笑みは、事情を知らぬ者にはただの母性的な笑みだと思われた。

そして、ヒューズよりも付き合いも理解も浅いロイはただその笑みを表面的に理解した。

「……残念だったな、ヒューズ」

「……そう言ってられるのは、今のうちだぞ、ロイ」

そうヒューズがロイに対し、忠告ならぬ事情通ゆえの警告を言葉にした。

しかし、ロイがヒューズの言動を理解する前に、再び場を制する様にアグニが微笑んだ。

「マース?」

「い、いや、今日も頑張れ、ロイ」

というヒューズの意図も、アグニの笑みの意味も分からないロイはただ不審に思った。

だが、アグニは場の空気を変える様に、ロイに錬金術の最新文献を差し出した。

それを見せられたロイは、すぐにアグニとの討論に夢中となった。

その為、意図的にヒューズが居なくなった事にも気づかず、アグニとの討論を続けた。

 

 

 

 

 

……このSSにて氷炎の最恐説、いえ、最強説が成立しているでしょうか?

一応、戦闘能力はイズミ師匠並みで、錬金術師としてはロイ並みとの設定は有りますが。

ですが、基本的には人の上に立つよりも、サポートを「好む」タイプです。

ええ。あくまでも「好む」なので、指揮等も能力的には可能だったりします。

なので、ロイと親友になっても……主導権を奪う場面が多いですね(遠い目)

 

 

 

使用お題「親友お題1」お題配布サイト「疾風迅雷」