ロイとアグニが再会してから一か月後。
初めてロイとアグニが実戦訓練のパートナーとなった。
しかも、互いの高い能力を損なう事が無い程に完璧なペアだった。
それ程、攻撃役のロイと防御と補助をしたアグニに対し、講師役の現役軍人が脱帽した。
そして、それ故に、ロイとアグニのファンクラブを称している面々の表情は厳しく、
ロイとアグニの能力の高さを知る他の生徒達はただ驚きながらも二人を称賛した。
だが、この結果で一番驚いたのは当事者のロイで、アグニは好成績を喜ばなかった。
それ故に、ロイはアグニが知る情報を確かめる様に、呼び出した直後に問い質した。
「本当に俺の情報はマース経由だけか?」
そうロイに問われたアグニは、表情が読めない、不機嫌といえる無表情で問い返した。
「……情報料は高いわよ?」
「そうか。では俺の身体能力以外にもスリーサイズまで……」
とロイが先程まで漂っていた緊張感を緩めた為、アグニは淡々とした口調で突っ込んだ。
「そんな馬鹿な事は知る気もないから安心して」
「なら、俺の義母の仕事も知っているな?」
そうロイに核心を突かれたアグニはただ沈黙だけを返した。
そして、その沈黙に対し、ロイも引かぬ空気を纏ったまま、ただ視線で答えを求めた。
その様な緊迫した雰囲気の二人に対し、意図的に空気を読まないヒューズが声をかけた。
「よ、熟年夫婦並みのサポートだったじゃねぇか、アグニ。しかもロイも上手く乗せられてたしな。このまま墓まで一緒かぁ?」
というヒューズが軽口を叩くと、ロイとアグニは無言で殺気を込めた視線を返した。
いや、ロイはアグニに質問を答えさせる為の邪魔をしない様に牽制する為に。
アグニは知っているロイの情報をこれ以上知られない為の失言を忠告する様に。
そして、空気は読まずとも、二人の意図には気づいたヒューズは素直に謝罪した。
「すまん、失言だった、ロイにアグニ」
「ならば、ヒューズ。おまえがアグニに教えた俺の情報の詳細を教えろ」
「えっと、それはだなぁ……」
そうヒューズがアグニへと視線を向けながら、ロイへの答えをはぐらかそうとした。
そして、ヒューズからの視線を受けたアグニは、ロイのファンクラブ達の動きを察した。
「ロイ、今日のところは解散した方が良いわよ?」
とアグニが言う様に、ロイのファンクラブの面々が憮然とした表情で三人を見ていた。
それを確認したロイは、ファンクラブの面々と騒ぎにならぬよう、すぐに立ち去った。
「そうだな。ヒューズ、ファンクラブの面々に感謝しろ!」
「……ほんと、嫉妬のする甲斐がある位、熟年すぎるだろ、おまえ達」
そうヒューズは残ったアグニに対し、苦笑いながらも呆れていた。
そして、アグニはそれを称賛として受け入れる様に、ただ感情を隠さずに微笑んだ。
士官学校時代の授業への描写に関する需要はあるのでしょうか?
一応、鋼的な士官学校の授業や実戦訓練を想定した簡単な独学はしたのですが……
この時代に教えられているだろう「戦争論」とか、「銃を主軸とした戦争」とか、「銃の歴史」とか、鋼的錬金術を想定した戦争と実践の想定とか。
簡単な独学なので、知っている方には突っ込みどころが満載な授業風景にはなると思いますが。
もし、希望があればもう少し勉強をしてから書いてみたいと思います。
使用お題「親友お題1」お題配布サイト「疾風迅雷」