3出会いはいつだったか(お題使用1)

ロイとアグニの錬金術の討論が日常的になると、アグニはロイにペースを乱された。

それ程、ロイの錬金術への情熱と錬金術師として親しくなりたいという思いは強かった。

それ故に、アグニはロイとファーストネームで呼び合う事も許容する親密な仲となった。

「そろそろ出逢った時の事を教えてくれても構わないだろ、アグニ?」

「……出逢いなんて言うほどの事じゃないわ。それに、聞いて後悔するのはロイの方よ、きっと」

そうアグニは冷淡ともいえる口調で、ロイの問いに答えようとしなかった。

だが、その様なアグニの口調にも慣れ、不機嫌では無いと知ったロイはただ問い続けた。

「そうか。で、出逢った時は何年前かね?」

「……覚えてないわ」

「では、俺の姿がそんなに鮮明な記憶になった理由を聞いても?」

というロイの熱心で執拗な問いが続いても、アグニは答えようとしなかった。

また、その会話の温度差に気付かない面々は、対となる二人の美貌を遠巻きに見ていた。

それ程に、ロイとアグニの容色と能力の高さは、周知の事実でもあった。

それ故に、それぞれのファンクラブも『友人』という関係から進む事に賛否両論だった。

その様なロイとアグニの会話中に、あえて空気を読まないヒューズが気軽に声をかけた。

「おい、アグニ。オレにはあんなに口止めしてたくせに、数週間でずいぶん仲良くなったじゃねぇか?」

「あら、嫉妬だなんてグレイシアさんに知れたら危険よ、マース」

そうアグニはロイからの執拗な問いから逃れようとヒューズを話題にしようとした。

だが、その様なあからさまな言動を制する様に、ロイはアグニに釘を刺した。

「話を逸らしても無駄だぞ、アグニ」

「……諦めろ、アグニ。ロイのしつこさは国賓級だぞ」

「ならお前が教えろ、ヒューズ」

「……それは太陽が西から昇っても出来ねぇな。オレは地獄の存在は知っている」

とヒューズはロイの問いをかわそうとしたが、失言癖を知るアグニはニッコリと笑った。

いや、中性的な美形であるアグニが微笑むと、誰もが圧倒される様な美しさだった。

それ故に、アグニをよく知らないロイでも沈黙し、熟知しているヒューズはただ怯えた。

そして、その様な反応を確認してから、アグニはその笑みを保ったままで問い掛けた。

「その地獄を今、再現しても構わない?」

そう問われたヒューズは即時撤退をしようとしたが、ロイとアグニ止められた。

いや、ヒューズの逃げる気配を察したロイとアグニが息の合った行動でそれを阻止した。

その様な、息の合うコンビプレーに驚きながらも、ヒューズはただ逃げようとした。

しかし、それをロイは見過ごさず、アグニも微笑みを保ったままで逃げ道をふさいだ。

「逃げ道は無いぞ、ヒューズ!」

「ええ。逃げるなんて楽な道、何度も選ばせないわよ?」

と告げられたヒューズは、ただ肩の力を落とすと、無抵抗を示す様にただ両手をあげた。

 

 

 

 

 

長い「お休み」を経て、久方ぶりの更新となりました。

お待ち頂いていた方々にはお礼とお詫びを申し上げます。

 

また、今回も氷炎とロイの仲に距離がある状態ですが、

今回のお題を使用した『紹介』小説での変化はしばらく無いかと。

なので、原作に沿った時期の親密な関係は、後日に更新予定の

お題を使用した原作沿い小説までお待ち頂ければ、と。

 

 

 

使用お題「親友お題1」お題配布サイト「疾風迅雷」