リリーナ、何故おまえは、オレなどが必要だと言うのだろう。
過去にも、リリーナに想いを告げられる事は幾度もあった。
だが、オレにはその感情が理解できなかった。
互いに違う立場と役目で『平和』を築く者だとしか思えないから。
リリーナの立場と役目は他の誰にも務まらない。
リリーナを形作る性格と能力の特殊さと同様に。
そして、リリーナの代わりはなく、オレ達のような存在には代わりがいる。
そう、ガンダムパイロットだった経歴と能力は『平和』となった世でも必要だった。
『平和』は戦乱の世にあったサンクキングダムの様なガラスに近い事に変わりはなかった。
それでも、『平和』は多くの人々に受け入れられ、支持されている。
だから、オレはガンダムを失っても戦い続けている、『平和』を護る為に。
それがリリーナを護り、必要としている理由だ。
だからオレは、今日もリリーナの想いを否定した。
その痛みをオレは想像する事も出来ない。
だが、リリーナはいつもと変わらぬ表情で要人達と言葉を交わしていた。
そう、この式典での役目であるスピーチまでの時間には余裕があった。
だが、交流という名の挨拶回りも必要であったリリーナは、気持ちを切り替えたのだろう。
だから、オレもリリーナの警護に集中しながら思った。
そうだ、それでいい。
オレの事など忘れろ。
おまえは幸せになってくれ、
と。
切ない恋愛お題(1)お題配布元:疾風迅雷