ねえ、ヒイロ。
私のようにヒイロに救われ、あなたの幸せを願う人もいるのよ。
どうしてそんな簡単な事にヒイロは気付かないの?
テロ予告が多い為、厳重に警戒された式典に向かうリリーナの護衛をヒイロが務めた。
そして、ヒイロとリリーナだけの車の中で、リリーナはヒイロへ唐突に問い掛けた。
「ねえ、ヒイロ。欲しい物は有りませんか?」
「……プリベンダーに登録している誕生日は名義上のモノだ。オレには誕生日など無い」
「それはわかっています。でも、ヒイロへの感謝と祝いをしたいと思っただけです」
「そのような事など必要ない」
と、ヒイロが冷たくも律儀に応えると、リリーナは満面の笑みを添えて応えた。
「……ヒイロならそう言うと思ったわ」
「……」
「誕生日を祝うこともヒイロにとっては迷惑ですか?」
とリリーナは、常である無言を返すヒイロに対して、少しだけ躊躇うように問い掛けた。
その躊躇いに込められた不安に気付いたヒイロは短い言葉で答えた。
「……迷惑ではない」
「なら、どうして?」
「……オレには資格が無い」
「資格?」
そう問い返す事で、リリーナはヒイロの言葉の真意を促した。
しかし、ヒイロは応える事なく、会話を切り上げようとした。
「もうすぐ式典の会場に着く。世間話は終了だ」
「……」
「リリーナ?」
とヒイロは、急に会話を切り上げた所為か、無言を返したリリーナに対して問いかけた。
すると、リリーナは真剣な表情で、唐突にヒイロへ告白した。
「ヒイロ、私はあなたを愛しています。だから側にいてくれませんか?」
切ない恋愛お題(1)お題配布元:疾風迅雷