1 オレのことは忘れろ、幸せになれ

テロ予告が多い為、厳重に警戒された式典に向かうリリーナの護衛をヒイロが務めた。

宿泊先のホテルから、式典の会場に向かう車の中で、突然リリーナはヒイロに告白した。

「ヒイロ、私はあなたを愛しています。だから側にいてくれませんか?」

そういう、リリーナの唐突さに慣れてしまったヒイロは冷静に否定した。

「オレにそのような感情は無い。そしてリリーナ、おまえにオレなど必要ではない」

と、ヒイロが答える事を予想していたリリーナも、その言葉を冷静に否定した。

いや、冷静とは言えないくらい自然な微笑みを添えて答えた。

「私達が目指している事に必要のない人などいません。そうでしょう、ヒイロ・ユイ?」

「……平和と感情論は違うだろう」

そう応えたヒイロは、リリーナとの会話の論点を変えようとした。

だが、リリーナはそれに応じる事はなかった。

「論点をすり替えないで、ヒイロ」

「……おまえと討論する気はない。討論なら違う相手にしてくれ」

「では、はっきりと答えて、ヒイロ」

と、強くヒイロの真意を問い続けるリリーナに対して、ヒイロは短く答えた。

「……オレには資格が無い」

そう答えられたリリーナは、ヒイロを叱責するように問い返した。

「ガンダムのパイロットだったから?」

「……」

「答えて、ヒイロ!」

「オレにはそのような感情を持つ資格もないし、おまえの隣に立つ資格もない」

と答えたヒイロは、式典の会場の駐車場に入った。

そして、リリーナに無言で降りるように促した。

式典までの時間に余裕がない事を知っていたリリーナは、降車しながら応えを要求した。

「そんな答えは要らないわ。私はヒイロの想いが知りたいのです!」

「オレの事など忘れろ。おまえは幸せになれ」

そう言ったヒイロは、会場の警備をしている警護の面々と打ち合わせをしに行った。

VIP専用の入り口で待たされたリリーナは、ただ名前を口にする事しか出来なかった。

「ヒイロ……」

 

 

 

 

 

切ない恋愛お題(1)お題配布元:疾風迅雷