ある日。慎司は急に美鶴から呼び出された。
そして、唐突に珠紀に浮気をされていると告げられた。
すると、慎司はただ沈黙だけを返した。
それ故に、美鶴は慎司の意図を追求した。
「足掻きもせずに、珠紀様の元を去るのですか?」
「……そんな嘘で僕を騙して、何か得るモノがあるの、美鶴ちゃん?」
そう慎司から静かに問い返された美鶴は溜め息を吐いた。
「スパイの経験をお持ちの方は違いますね」
「……どうして、僕に嫉妬をさせる必要があったの、美鶴ちゃん?」
「……ひとつだけ質問があります」
と美鶴に告げられた慎司は、再び無言で答えた。
それ故に、美鶴は単刀直入な問いを続けた。
「どうして私の嘘を看破れたのですか?」
「嘘を見抜く方法はフィーアにも教えてもらったからね。それに、今更、珠紀さんに僕以外を選ぶ事なんてさせないよ?」
そう美鶴の質問に答えながら慎司は強気に宣告をした。
それを聞いた美鶴は虚勢を張った様な硬い口調で答えた。
「……ずいぶんな自信ですね」
「僕は御言葉使いでもあるから、束縛する方法はいくらでもあるんだよ?」
と問い返しながら意味深に微笑む慎司に対し、今度は美鶴が無言になった。
いや、常とは違う様子の慎司に対し、美鶴は言葉を返せなかった。
そして、慎司もその様な美鶴に対し、ただ宣告だけを言葉にした。
あくまでも、珠紀に少しでも危害する言動を制止した上で諌める為に。
「珠紀さんに告げても無意味だよ? むしろ美鶴ちゃんが毎夜逃げたくなる様な展開になるかもしれないね」
「……」
「とりあえず、珠紀さんのペースに合わせるのも第一優先だから、『新婚さん』は昼だけにしておくよ?」
「……珠紀様、申し訳ありません」
そう美鶴がようやく口にした言葉を聞いた慎司は意味深に微笑んだ。
美鶴の目的はわからずとも珠紀への危害を防げたと思ったが故に。
そして、その様な場の空気に気付かない珠紀が二人の存在に気付いた。
「あれ? 今は神社の方に居る時間だよね?」
「ちょっと美鶴ちゃんから用事を頼まれたので」
「そうなんだ。私も手伝おうか?」
「小用だったので、大丈夫ですよ。ね、美鶴ちゃん?」
という慎司が珠紀と美鶴に見せる笑みに大きな違いがあった。
しかし、鈍感な珠紀はその違いに気付かず、美鶴は沈黙していた。
そして、それらに気付いている慎司はあくまでも笑っていた。
それ故に、美鶴は委縮したような様子で慎司の問いに答えた。
「……え、ええ」
「あ、でも珠紀さんに余裕があるなら、僕の手伝いをして頂けますか?」
「私でよければいくらでも協力するよ」
そう珠紀に答えらえた慎司は、先程までとは違う単純な笑みを見せた。
「有り難うございます。じゃあ、神社に向かいましょう」
「うん。わかったよ」
と珠紀の答えを聞いた慎司はニッコリと微笑んだ。
そして、珠紀をエスコートする様に共に神社へと向かった。
また、残された美鶴は自分への気合を小声で入れ直した。
慎司に嫉妬をさせる作戦が失敗しても、完敗ではないと思い直す為に。
「流石は我が兄ですね……ですが、言蔵の総意と私を意志は通します!」
……慎司君はピュアブラックだと信じています!(←マテ!!)
というか、3のシナリオが卓さんと重なったのは、
卓さんが策士(腹黒)で慎司君が天然黒な所為だと
思ったのは私だけではないはずです!!!
ですが、天然繋がりだと、祐一先輩とも重なるのかな?
と、蒼黒の楔をフルコンプした際に感じました。
どちらにしても、単純な後輩キャラじゃない慎司君が
私は大好きです!(←それは褒めていないだろ!!)