嫉妬してください♪真弘編

珠紀との語らいを終え、自宅に帰ろうとした真弘を美鶴は引き止めた。

常とは違う、思い詰めた硬い表情の美鶴に対し、真弘は辛抱強く言葉を待った。

「……大変申し上げにくいのですが」

「? どうした?」

「いえ……いえ、言いえません」

そう真弘に答えた美鶴が頭を左右に振った。

芝居じみた美鶴の言動に対し、あくまでも真剣に真弘は問い続けた。

「……悩み事か? だったらこの鴉取真弘様に任せろ!」

「いえ、私の事ではなくて……」

「……もしかして珠紀か?!」

と真弘に問われた美鶴は肯定する様にただ頷いた。

それ故に、真弘も思い詰めたような表情で美鶴の言葉を待った。

「実は……珠紀様から、先日、気になる方から告白されて拒否できない、と相談されまして」

「……な、なに言ってんだよ、そんな嘘には騙されねぇぞ!」

「……そうですよね……私も嘘ならば、と思いますが」

そう美鶴が思い詰めた表情のまま、真弘から視線をそらした。

そして、しばしの沈黙の後、真弘はあからさまなつくり笑いをしながら問い返した。

「……冗談だよな?」

「……」

という美鶴の沈黙に耐えきれなくなった真弘は、唐突にキレて珠紀の部屋へ向かった。

「珠紀!」

「……これで仲が進展すれば、玉依姫の後継者問題も解決ですね」

そういった美鶴は、先程までの思い詰めていた表情が嘘の様に微笑んだ。

そして、そんな二人の会話をただ横で聞かされていた拓真は名に思いを込めた。

「……美鶴」

「婚前旅行に行きながら進展どころか、色事に疎すぎるお二人が悪いんです!」

と答える美鶴の態度は、兄に甘える様な、拗ねているとも言える態度だった。

そして、その様な美鶴の態度がまれだったが故に、拓真は責めきれなかった。

「だからって、こんな嘘を吐く理由は……」

「ご安心ください。いつ珠紀様がご懐妊されても全て完璧に手配させて頂きます」

そう完璧な笑顔で答える美鶴に対し、拓真は返す言葉を失った。

そして、拓真はただ真弘と珠紀の今後を素直に憂いた。

 

 

 

 

 

真弘先輩は良くも悪くも古式ゆかしい方だと思います。

なので、艶めいた展開が一番難しい方だとも思います。

ですが、真弘先輩も暴走するタイプだと思うので、

今回は美鶴ちゃんに火をつけてもらいました。

ただ、この様な火だけでは最後まで暴走しないと思うので、

続きを書いても全年齢がお約束な方だとも思います。