おまえの為に俺が盾になる!(平助メイン)

今日も今日とて、学園唯一の女学生の幼馴染みと生徒会会長が言い争っていた。

「いい加減にしろよ、風間千景!」

そう、女生徒の幼馴染である藤堂平助は、威圧的な生徒会会長に対して叫んだ。

そして、平助よりもかなり年長でもある風間千景は、生徒会会長らしく堂々と答えた。

「貴様こそいい加減、我が妻の居所を吐け」

「だから、千鶴はお前の妻なんかじゃ……」

「間男に妻の事を聞くなんて、夫としてアリなの?」

と、平助と風間の会話に対し、平助のクラスメイトである沖田総司が横やりを入れた。

その様な沖田の言動に慣れている平助は、行動ではなく言葉に対して怒りを見せた。

「間男ってどういう意味だよ!」

「えー、幼馴染なんて都合のいいカモフラージュで、千鶴ちゃんに手をつけて……」

そう沖田が、適当かつ、火を煽るような言葉を口にしようとした。

だが、沖田と平助のクラスメイトであり、風紀委員の斎藤一が鎮火を試みた。

「いい加減な事を言って騒ぎを大きくするな、総司」

「……おまえ達の三文芝居など見あきている。さっさと居所を答えろ」

「そう言われて、素直に答えると思ってんのか?」

と、風間に答えた平助は、肩書にも威圧にも怯える事なく、対等以上に張りあった。

また、動じない平助の言動に対し、風間は苛立ちながらも上からの目線を変えなかった。

そして、先程は横やりを入れた沖田は面白そうに静観し、斎藤はただ見守った。

その様な均衡状態を破る様に、校内に響き渡りそうな怒声が響き渡った。

「てめーら、いい加減にしろ!」

そう二人を叱りつけるのは、学園の教頭でもあり、教師でもある土方歳三だった。

そして、土方と一緒に現れた、教師の原田左之助と永倉新八も、喧嘩を止めようとした。

「そうだぜ、血の気が多い年頃だとしても、校内でもケンカは止めておけ」

「そうだ、そうだ。余計な煩悩は部活動で祓うに限るぜ!」

という三人の教師に邪魔をされた風間は、大仰な溜息を突くと無言で立ち去った。

「あ、何処に行くんだよ!」

そう平助に言われても、風間の足は止まる事なく、生徒会室のある階へと向かった。

そんな風間の次の手を読んだ沖田は、すぐにつまらなそうな口調で言葉にもした。

「……ふーん、手下の二人か、金に頼った千鶴ちゃん捜索網を展開する気かな」

と、沖田が読みを披露した後、斎藤は怒っている平助に、頼まれ事の顛末を言葉にした。

「平助、雪村は山南先生に預けた。容体が落ち着き次第、病院へ連れて行くそうだ」

「そっか……ありがと、一君」

「気にする必要はない。風紀委員として当然の……」

そう、怒りと安堵を同時に見せる平助に答えようとした斎藤は急に黙った。

何故ならば、背後から近づく気配の主に思い当たりがあったから。

そう。

斎藤と同じ風紀委員であり、唯一の女生徒の双子の兄である南雲薫だと確信したが故に。

「それが風紀委員の当然なら、なんで僕に知らせなかったの?」

「そ、それは、平助の友として……」

と、斎藤は薫に対して、何故か負い目を感じている様な口調で答えようとした。

いや、平助から薫に対しても内密に、と斎藤が頼まれていた所為でもあった。

それ故に、平助も斎藤への助け船を出すように、二人の会話に言葉を挿んだ。

「先輩に対して、そんな言葉はないだろ、薫」

「……平助まで先輩風を吹かせるつもり?」

そう問い返した薫は、平助に対しても、喧嘩を売るような冷たい口調だった。

再び喧騒が出来そうな気配を察した土方は、再び校内に響き渡る怒声を披露した。

「いい加減にしろって言っただろ! これ以上騒ぐなら生徒指導室に連行するぞ!!」

「……おまえ達、土方センセイが実力行使をする前に、収めておく方が賢明だぜ?」

「ま、ケンカは楽しいもんだが、時と場所を考えろよ?」

「……土方先生と一緒なんて楽しめないから、僕は教室に戻るよ」

と沖田は教師達、いや、土方への嫌みを込めた言葉を、あえて口にしてから立ち去った。

その様な横柄な態度の沖田を窘める様に、斎藤は再び冷静なフォローを言葉にした。

「待て、総司! 申し訳ありませんが、先に失礼します」

「あ、俺も教室に戻る。薫も早く自分の教室に戻れよ!」

そう平助は沖田と斎藤の後を追いながらも、薫への配慮を忘れなかった。

そして、双子の妹、雪村千鶴の体調が気になる薫は、教師達に一礼をしてから去った。

「……兄として、保健室に居る雪村千鶴の容体を確認してから、教室に戻ります」

「ああ。早めに済ませて教室に戻れ」

「……なあ、千鶴ちゃんも風間に現世でも惚れてるみたいだよな」

と言ったのは、この場にいた者を含めて、一番色恋沙汰に鈍い永倉だった。

いや、色恋沙汰に鈍い者でも気付くくらい、千鶴の態度はわかりやすかった。

それがわかっていないのは、千鶴当人と勘違いをしている風間ぐらいだろう。

そう。

風間の認識と、千鶴の想いには大きな差異があり、それ故に真実に気付いていない。

それらを理解している土方は、同じ認識である原田に対して同意を求めた。

「……千鶴はわかりやすいからな。だが、今は俺達が居る。簡単に成就させる気はないぞ?」

「確かに。でも、平助も結構役立つ防壁だな。千鶴が無垢なのは平助と薫の所為だろ?」

「ま、今は千鶴が誰を選ぶかも予想したくないから、平助には頑張ってもらおうか」

「そうだな。誰を選んだとしても、千鶴は千鶴らしく居て欲しいからな」

 

 

 

 

 

平助君SSの予定が、千鶴嬢不在のオールキャラなSSとなりました。すみません!

やっぱり平助君と千鶴嬢の恋愛は思いつかず、風間さんの出番があるSSも欲しくて……このようなSSとなりました。

やっぱり幼馴染設定のSSLの平助君は私的に美味しいキャラですね!

SSL設定の恋愛小説を書く予定はありませんが、いつかは挑戦したいですね。

防壁かつ応援役の平助君が居る、千鶴嬢と誰かの恋愛小説などに。