女に惚れた。
そう想う事が出来る女に、出逢えるとは思わなかった。
人並みに色事は知ってもいるし、経験もあった。
だが、女がらみで粛清された隊士達の気持は、一欠けらも理解が出来なかった。
しかし、今の己の真情を認めれば、理解以上の感情が存在する事を否定できない。
それは多分、千鶴に惚れている証なのだろう。
だからこそ、今は千鶴に会えなかった。
否、千鶴の監視が必要ではなくなった今だからこそ、二人になるのが怖い。
今はまだ、食事の支度が一緒でも、巡察に同行させても、己の想いを抑えこめる。
そして、新選組の一員としての役目を、武士としての在り方を優先できる。
だが、これまで以上に千鶴へと溺れれば、と確信しそうになる己が居る。
常に、人を斬る時、斬られる覚悟は出来ている。
死ぬ事への恐怖も恐れもない。
それでも、湧きあがる千鶴への想いは、清さと混在する男の欲情から湧く狂気は……怖い。
だから、蜘蛛の糸のような頼りない理性に縋るしかない現状が怖い。
そして、千鶴という存在に絡めとられて選択を誤れば、己が粛清されるかもしれない。
……だが、千鶴を遠ざけるにはもう遅い。
千鶴という存在を知る前の己に戻る自信など欠片もない。
千鶴を遠ざけ、存在を忘れる事も、感情を消す事も、出来そうにもない。
ああ、本当に俺はどうしたいのだろう。
だが、千鶴が微笑む顔を見れば、そんな悩みも霧散する。
……末期だと思うが、今は現状を受け入れるしかない。
そして、今日も武士として存在しようと足掻く。
心の中に思う存在を強く想うが故に……
斎藤さん、斎藤さんです。
斎藤さんは可愛いというのがお約束だと思うのですが、上手く表現できませんでした。
ED後だと、色々と甘い小説が書けるような気がしたのですが、恋愛未満も書きたくて。
ですが、ゲーム本編で観た頬を染めた斎藤さんほどの破壊力いえ、衝撃作は無理でした。
でも、これはこれで良いかな?とも思っています。