アイリーンから求婚されたカーティスはただ驚きから瞳を見開いた。
素で驚いているカーティスが珍しいと思ったアイリーンはただまっすぐに見ていた。
故に、カーティスが驚きから自身で回復すると、ただアイリーンに再確認をした。
「では、僕がプリンセスの左手の薬指に合う指輪を贈る、という事をすると思っているんですか?」
そう問い返した、否、確認をしたカーティスはアイリーンの身体に深く触れた。
故に、アイリーンはカーティスの意図を確かめる様に叫びながら深く触れる手を離した。
「なら、この手の意味は何!」
「いえ、僕がプリンセスを独占できるなら、良いですよね?」
「いいえ、断固拒否よ!」
「どうしてですか?」
「ここは私の私室だけど、従者もメイドも居るのよ、この部屋には!」
とアイリーンが叫ぶように主張をすると、カーティスも周囲に人が居る事を理解した。
「ああ。空気が読めない人達が居ましたね」
「お、落ち着いてください、チェイカさん!」
「放しなさい、アルメダ」
「ぜひ、離さないで、アルメダ」
そういうチェイカとアルメダの攻防、否、正しい反応に対してカーティスは微笑んだ。
「安心してください。あんな女の攻撃はいくらでも僕が防ぎますから」
「そっちの心配をするくらいなら配慮もしなさいよ!」
「でも、そんな僕が良いんですよね、プリンセスは」
「私には人に見られる趣味ないのよ!」
「気にならなくしてあげますよ?」
「それは即行でお断りよ!」
とアイリーンとカーティスは互いの主張を譲らぬように一進一退の攻防を繰り広げた。
故に、チェイカとアルメダを除く使用人達は自身の安全を確保してから見守っていた。
そして、いつも通りにカーティスの攻めが勝つ頃には使用人達は全員が退室していた。
結果、アイリーンはいつもの様にカーティスに上手く頂かれ、求婚の答えも聞けなかった。
……カーティスが求婚の返事として指輪を贈る、とは思えなかった為、このようになりました。
いえ、アイリーン相手に変わったカーティスは未知数なので、有るかもしれないですが、想像が難しかったので……(遠い目)