アリスからプロポーズをされたグレイは驚きから吸っていた煙草を地面に落とした。
ありえないくらい驚いて動揺もしているグレイは失礼も無礼も承知でアリスに確認した。
「……本当に俺と結婚したいというか、アリス?」
「私は本気よ、グレイ!」
「そうか……だが、今まで君以上に上手く誘ってきた女は多いが、いいのか?」
そう問い返されたアリスは知りたくはなかったグレイの過去を明かされて傷ついた。
その様な想定外の事実に戸惑い傷つくアリスが可愛いと思ったグレイは正直に告げた。
「そんなに傷ついてくれるとは想定外だな」
「グレイ!」
「俺は君が思うほど大人じゃないし、愛情が綺麗なモノだけで出来ていないと知っているだろう?」
と問われたアリスは先程まで傷ついていた乙女とは思えぬ程の覚悟を秘めた瞳で答えた。
「グレイの隣を独占できるなら、どんなに傷ついても譲らないわ!」
「それは駄目だ。君は俺のモノになるんだろう?」
「?」
「ならば、君を傷つける者は君自身であっても俺は許さない」
そう断言されたアリスは、ただ喜びから真っ直ぐにグレイを見つめながら泣いた。
そして、喜びから涙を流すアリスに対し、グレイは涙を指で拭いながら近づいた。
「君が泣く姿も可愛いが、それよりも約束をして欲しい。これからは俺の隣だけに居ると」
「約束したら、私はグレイの隣に居られるの?」
「ああ。その約束として、君の左手の薬指に似合う指輪を贈ろう」
と答えたグレイはアリスの左手を自身の顔に近づけると薬指にキスをした。
ロゼ系では艶を多めにしようと思いましたが、グレイ相手の乙女なアリスでは……難しかったです。
いえ、年齢制限小説なら結果は違うかもしれませんが、全年齢小説ではこれが限界でした。