誕生日は大勢で?(誕生日シリーズ2)

今日はブルーさんとアクアさんの誕生日会です。

昔、教会で毎月に行われていた誕生日会とは違う、大勢で祝う誕生日会。

大勢と言っても、私と葵さんと主賓のブルーさんとアクアさんだけですけど。

本当はもっと大勢で祝う予定だったんですけど、アクアさんの一言で4人になったんです。

4人で暮らすようになってから初めての誕生日会だから、と。

陰ではブルーさんの為だと公言しているとシリウス様が言ってましたけど……

その理由はわかりませんが、ブルーさんを祝えるのは嬉しいです。

あ、もちろん、アクアさんもです!

誰かを祝う為に何かをつくるって本当に嬉しいんです。

それが、大切な人なら尚更です。

そして、ブルーさんとアクアさんが喜んでくれるから、私も幸せなんです。

 

 

 

ダイニングの飾り付けが終わったマリンは作った料理を並べようと思った。

なので、マリンの手伝いをしてくれているブルーにその事を告げた。

「私の方は終わったので、お料理とケーキを並べますね」

「ごめん、マリン。僕はもう少しかかりそうだよ」

そう言いながら、ブルーは慣れない手つきで部屋を飾っていた。

だからマリンはニッコリと笑いながらブルーに答えた。

「気にしないで下さい、ブルーさん。慣れない作業を手伝ってもらっているんですから」

「マリンこそ気にしないで。飾り付けって面白いから」

「そう言ってもらえると嬉しいです」

そうマリンは応えると、少しだけ頬を染めた。

そんなブルーの天然たらしっぷりとマリンの乙女モードは、アクアを呆れさせた。

それ故に、アクアはこれからも続くと思われるこの状況を素直に憂いた。

「来年もブルーと一緒の誕生会は……ちょっと不安」

「そう言うではないぞ、アクア殿。兄妹一緒に祝える幸せはそうそうないのだから」

と、料理を温め直している葵は、アクアの呟きに対して真面目に答えた。

すると、ブルーとマリンにあてられているアクアは、珍しく素直な思いを吐露した。

「でも、私にも『春』は来るかもしれなくてよ?」

「それはその時、一緒に春を過ごす者と、一緒に祝えば良いではないか」

そう葵が言った時、マリンは2人の世界から急に戻ってきた。

「え? アクアさん、お誕生会の人数が増えるのですか?」

「それは聞いていないよ、アクア」

と、ブルーもアクアの言葉には敏感に反応した。

そんな3人に対して、アクアは淡々と、だが断定的に答えた。

「……もしもの話よ。まだ告白もされてないんだから」

「告白を待っているとは、行動派のアクア殿らしくないな」

「そうですね。アクアさんなら待つより言わせる方法を考えていそうですし」

そうマリンと葵が疑問を投げかけると、ブルーが爆弾を投下した。

「アクア、僕も言ったんだから、必ず報告はしてね」

「ブルーよりも奥手な行動をするつもりはないから安心して」

と、アクアはブルーの言葉に惑わされる事なく、淡々と応えた。

しかし、マリンは今にも死にそうな表情でブルーに問い掛けた。

「え? ブルーさん、好きな人がいるんですか?!」

「マリンは心配しなくても大丈夫だよ」

そう言って微笑むブルーは、魔法が盛んな国の元王子より王子様らしかった。

そして、それを証明するかの如く、マリンは真っ赤になってしまった。

ただ、ブルーの天然に慣れているアクアは、淡々と口を挿んだ。

「……ごちそうさま~と言うべきかしら」

「言葉を挿むコト自体が馬に蹴られるかもしれぬな」

と、流石の葵も、この場から退場しようかという思いを正直に告げた。

それに対して、マリンは慌ててアクアと葵の意図を否定しようとした。

「な、何を言っているんですか、2人とも!」

「……馬に蹴られる?」

と、ブルーは意味のわからない言葉と、アクアと葵の意図に対して首をかしげた。

そんなブルーとマリンを見せられたアクアは、いつもの表情で淡々と呟いた。

「……本人達が気にしていないなら、ま、関係ないかもね」

「そうだのう。二人にはまだまだ段階が早いのかもしれぬな」

と、葵もアクアの言葉を認めるような断言をした。

なので、マリンは強引に話を逸らそうとした。

アクアと葵の会話で、マリンの気持ちをブルーに気付かれたくなかったから。

「……あ、えっと、アクアさんの好きなお料理も用意したんです、持ってきますね」

「じゃあ、僕はこのリボンを飾り付けたら終わるから手伝うよ」

と、ブルーはマリンの意図にも気付かず、額面通りに言葉を受け取って答えた。

そんなブルーの態度に少しだけ安心したマリンは満面の笑みで応えた。

「はい、お願いします、ブルーさん」

そういう二人のやり取りは、新婚夫婦の様だとアクアは思ったが、言葉にはしなかった。

今、それを指摘するよりも、後の楽しみとした方が良いと思った為に。

そして、同じ想像をした葵は、これ以上2人を困らせまいと言葉にはしなかった。