覚悟と誘惑(アルムディア)

アルムがダリスの国王となり、ディアーナもダリスの先王に嫁ぐことが白紙となった。

その為、アルムがクラインへ訪れた時、セイルが私的なディアーナとの再会を設けた。

それにアルムは感謝したが、ダリスの国内事情故にディアーナを諦めようと思っていた。

「駄目ですよ、姫君」

「私は諦めませんわ!」

「ですが、姫君よりも上手く誘う女性がいても駄目でしたから諦めてください」

「!」

「そんなに気になりますか?」

「当然ですわ! 私の初恋の王子様である、あなたの事ですもの!」

「その幻想こそが間違いだと言うのです。私はあのころとは違う『大人』になりました。

そして、貴女はあの頃のままの清らかな姫君です。ですから、私などにこだわるのは駄目ですよ」

「諦めません!」

とアルムに断言をしたディアーナに対し、アルムはディアーナの想いが嬉しいと思った。

だが、ダリスの事情を知る故に、ディアーナの幸せを思うが故に、アルムも譲れなかった。

そして、その様な思いを察するが故に、無言となったアルムにディアーナは問い掛けた。

「私が変わらないというのはあなたの主観でしょう?」

「ええ」

「なら、私はあなただけの姫君で、私もあなただけが私の王子様ですわ。なら、私の求婚も受け入れて頂けるでしょう?」

そういうディアーナ問いが、大切であり唯一だと想っているアルムの心に刺さった。

故に、アルムは互いの距離を近づけると急に抱き寄せてから耳元で囁いた。

「ディアーナ」

「!」

「これくらいで困られる姫君に……」

「私は困っていませんわ、嬉しいんですの! ただ、嬉しいのに、それを返す方法も表情もわからないのですの……」

「兄上に報告できますか?」

「え?」

「僕に抱き締められながら求婚されて受け入れた、と」

「もちろんですわ!」

そうディアーナが即答した為、アルムはあえて互いの身体の距離を離してから顔を見た。

そして、ディアーナの満面の笑みと陰りもない想いも察したアルムは言葉を失った。

また、その様なアルムの態度に気付かないディアーナは満面の笑みで答え続けた。

「私があなたに相応しい姫君になれるように努力した結果ですもの。お兄様も認めてくださいますわ!」

「……わかりました。では、また約束しましょう。生涯を共に隣で全うする為に約束を」

「ええ、また約束しますわ!」

「ええ。貴女の全てを僕が貰い受けるのですから、覚悟してください、姫君」

「どんとこい、ですわ!」

「……異国の言葉、ですか?」

「ええ。メイに教わりましたの。どんな困難も苦難もきっちりと受け入れる時に使う言葉で、シオンに告白された時にも使ったそうですわ」

「そうですか。では、今宵はもっと約束の代価を頂いても良いですか?」

とディアーナとの距離をゼロにしたアルムは互いの唇も重ねた。

それが嬉しいディアーナは身を任せたが、互いの舌が絡むとアルムを拒絶した。

否、舌だけでなくアルムの手がディアーナの服も乱そうとしていた為にただ慌てた。

「だ、ダメですわ!」

「なぜですか?」

「……清らかな姫君ではない私をダリスの民が受け入れてくれるとは限らないでしょう?」

「……そうですね。僕の方が焦りました。では、忘れられない初夜を楽しみに待っています」

「ええ! 私も待っていますから、早く迎えに来てくださいませ、アルム?」

「そうですね。これからは手紙も定期的に送りますから、僕を信じて待っていてくださいね?」

「もちろんですわ!」

 

 

 

 

 

……想定通りにいかない小話パート2になりました。

いえ、元のヒロインよりも個性が強すぎるディアーナが相手のアルムだと……想定通りになりませんでした。

ですが、今回もアルムディアらしい小話になったと思うので、結果オーライでしょうか?