大統領にもなった外務次官のリリーナに危険すぎる予告や未遂の事件が多発していた。
それ故に、臨時のSPとしてヒイロが直接リリーナを守る事になった。
結果、会話する機会も得たリリーナは思い切って求婚したがヒイロに拒絶された。
「俺が護衛を務めるのも特例なのに、結婚など出来る訳がない」
「そうでしょうか?」
「ガンダムは戦争の象徴で、おまえは平和の象徴だろう」
「確かに戦時中はそうでした。ですが、私は過去に暗殺を試み、偽りの平和の象徴となる事を了承しました。それでも、私は平和の象徴だと言うのですか?」
そういう過去が事実だとしても、信じ守りたいと思っているヒイロは無言だった。
故に、リリーナはヒイロの思いが嬉しいと思ったが、同時に哀しいとも思った。
「今の私を認め、信じてくれて、ありがとうヒイロ。では、ヒイロも過去のこだわる必要はないはずです」
「だから、おまえと俺は違う」
「いいえ、違いません。むしろ平和を維持する為の時間を作る為に戦っているあなたは、私よりも平和に貢献していると思うわ」
と言われたヒイロは、リリーナから急に求婚されている理由の原因を察した。
「……リリーナ、嫉妬で焦っているのか?」
「ええ。だって、今年になってからも告白や一夜のお誘いから求婚まで殺到しているのでしょう?」
「……そうだな。お前以上に上手く誘う女も多いな」
「では、私の勝ちね?」
「どういう意味だ?」
「だって、今までそういった上手く誘う女性も秒殺で、会話も成立していないと聞いています。なら、私は脈があるのでしょう?」
そうリリーナに断言されたヒイロは情報源となった者達への報復を真剣に考えた。
そして、同時にヒイロはリリーナの願いと自身の隠しきれない想いを認めようと思った。
「何が欲しい?」
「あなたと共に生きる権利と義務を」
「……そんなものに価値などあるのか?」
「ええ。今の私が一番望む事です」
と言われたヒイロは車で移動する際に持ち込んでいたノートパソコンを起動させた。
急に神速以上のパソコン操作をするヒイロに対してリリーナは率直にその意図を問うた。
「ヒイロ、何か問題が起きるのですか?」
「いや。これに残りを記入してくれ。あと、新居はこちらで探しておく」
「え……婚姻届?」
「不要なら削除する」
「いいいえ! 有り難う、とても嬉しいわ!」
「俺も欲しかったからな」
そう答えたヒイロがめったに見られない自然な笑みを見た為にリリーナは驚いた。
そして、笑っている自覚もなかったヒイロはただリリーナの名を口にした。
「リリーナ?」
「秘密です」
「?」
「ええ。ヒイロが気付かないなら、気付くまで秘密です」
とリリーナはヒイロの疑念に答える事も、笑みを見せてもらった事も言葉にしなかった。
否、ただリリーナがヒイロの笑みを独占したいと思うが故に、あえて指摘をしなかった。
その様な乙女な想いに気付かない、否、気付けないヒイロはただ黙々と作業を再開した。
TVシリーズ後のAC歴の捏造となりました。
また、元ネタのヒロインよりもリリーナ嬢は強すぎるし、リリーナ嬢に対してヒイロがドSなのは……テンプレ過ぎた為、普通にヒイロVSリリーナとなりました。
また、恋愛モノとしてこの糖度はいかがかとも思いますが、当サイトのヒイリリらしい小話になったとは思っています。