拝啓、お義兄様

「アルムとお兄様はすっかり仲良しになられたから、わたくし、二人に妬いてしまいますわ」

そう言ったディアーナが読み終えた手紙を渡されたアルムレディンの心境は複雑だった。

確かに、ディアーナの手紙を起因した騒動が収束した頃から、アルムレディンとセイリオスも定期的に手紙を書き合う様になった。

はじめは、ディアーナと両者の手紙の添え書き程度だったが、それが封書へと変わるまでに、そう時間はかからなかった。

そして、封書となった頃から、ディアーナはあえて感想を聞くだけにしていた。

互いの手紙が単純に『好意』だけで成立していない事に気付いていたが故に。

それ故に、アルムレディンはディアーナの言葉を素直に受け入れられなかった。

「……それは喜べないのですが?」

「だって、わたくしはアルムと定期的に私的な手紙をやりとりする事なく、ダリスの王妃となったんですもの」

と言われたアルムレディンは、ディアーナと最短ともいえる時間で婚儀を済ませた事を少しだけ後悔した。

しかし、アルムレディンの想いと同様だったディアーナは、茶化す様な口調で微笑んだ。

「ふふふ、でも、安心してくださいまし、アルム。わたくし、アルムがお兄様に懸想しているとは思っていませんから」

そう告げたディアーナに対し、アルムレディンは本気で慌てた。

「姫!」

「あら、わたくしはダリスの王妃でしてよ、アルム?」

と答えるディアーナは、アルムレディンの言動も茶化す様な口調のまま、ニッコリと呼べる笑顔も保っていた。

それ故に、アルムレディンはディアーナの言動の理由が手紙ではない事に気付き、最近の事を振り返りながら確認を求めた。

「……昨夜も遅くまで貴女を離さなかった事を怒っているのですか?」

「いえ、朝日が昇りかけた時間まで、ですわ」

そうディアーナは、アルムレディンが探り当てた理由を認め、真顔と怒りを素直に見せた。

「寝不足は乙女の大敵で、連日の政務があるアルムにも良くないですわ!」

「ですが、僕には貴女と共に過ごす時間が少しでも多くありたい、と想う思いを理解して頂けませんか?」

と問い返したアルムレディンは、機嫌を窺うように真摯な視線と共にディアーナを見つめた。

それ故に、ディアーナはすぐに白旗を上げ、アルムレディンの視線から逃れるように顔を逸らした。

「……ずるいですわ」

「え?」

「アルムはズルイですわ!」

「ええ、そうですね。それに、僕は貴女と共にいる為ならば、どのような手段も選ばない、と告げましたよ?」

そう、アルムレディンに再び問い返されたディアーナは、紅潮した顔を俯かせながら白旗を完全にあげた。

「やっぱりアルムには敵いませんわ……」

「僕も貴女には敵いませんから、一緒ですね」

と答えるアルムレディンの言葉に驚き、ディアーナは俯いていた顔を上げた。

しかし、ディアーナが見たアルムレディンは、真摯な言葉とは裏腹な笑みを浮かべていた。

それ故に、ディアーナは白旗を上げた事も忘れ、アルムレディンへと抗議するように叫んだ。

「それも違いますわ!」

 

 

 

 

 

ラストはアルムディアがメインらしい小説になったかと。

ただ、お約束や王道や予想しやすい展開なのは……萌え優先という事で!