誕生日にお祝いを(誕生日シリーズ1)

誕生日……誕生した事を祝う日。

正直、祝うような事だとは理解が出来なかった。

互いが生まれた事、存在している事、全てが当たり前で特別でもあったから。

でも、マリンが企画した、僕とアクアの誕生日会が近づいてくると、嬉しくなった。

この場には居なくとも、多くの人が僕とアクアの誕生日に言葉とプレゼントをくれた。

二人で過ごしていた時には想像も出来ないくらい『幸せ』だ。

あれほどアクアが『幸せ』を求めていた理由が少しだけわかる気がした。

そんな『幸せ』を与えてくれたマリンに伝える方法がわからなかった。

だから、側にいれば伝わるだろうとマリンの手伝いをしてみた。

でも、誕生日を祝う事で精一杯なマリンには、側にいるだけでは伝わらないみたいだ。

けれど、嬉しそうなマリンの表情を見ていたら、どうでも良くなってきた。

祝う事も嬉しいのだと、マリンの様子を見ていたらわかったから。

だから、今度は僕がマリンの誕生日を祝おうと思った。

そう思うと準備でも心構えが違ってきた。

少しでもマリンの好みを知り、手際良い準備の仕方を覚えようと思った。

マリンの誕生日会で、少しでも多くの『幸せ』が出来るように、と。

 

 

 

「すみません、ブルーさん。お手伝いしてもらって」

そう言いながら、マリンは部屋の飾り付けをしていた。

そして、主賓でありながら、マリンの飾り付けを手伝っているブルーは笑顔で答えた。

「いいんだよ、マリン。アクアの誕生日でもあるんだから」

「でも、祝われる側が手伝うのは、ちょっと違うかも……」

「良いではないか、アクア殿。ブルー殿は好きで手伝っているのだから」

と答えながら、準備をしていた葵は、暇を持て余して現れたアクアの意図を勘違いした。

だからアクアは、葵とマリンの勘違いを正そうとした。

「……ブルーが好きなのは違うと思うけど」

そう言われたマリンは、即座にブルーへと勘違いな問い掛けをした。

「え? やっぱり飾り付けって嫌いですか??」

と言うマリンの勘違いや、アクアの意図に、気付いているのかいないのか……と思わせる意味深な微笑みで、ブルーはマリンに答えた。

「そんなことはないよ、マリン。アクアの意味は違うから」

「そうなんですか?」

そうブルーの言葉を鵜呑みするマリンに対し、アクアは溜息をついた。

「……やっぱり天然カップルね、この二人は」

「そうだのう。だが、それはそれで二人らしいと思うぞ」

と、葵も溜息をつきながらもフォローをした。

しかし、二人の意図がわからないブルーは単純な疑問を問い返した。

「天然?」

「カップルって……ブルーさんに失礼ですよ、私とだなんて」

そう答えるマリンは、天然の勘違い王である事をアクアと葵に確信させた。

それ故にアクアと葵は沈黙を返す事しか出来なかった。

それを不審に思ったブルーはアクアに名で問い掛けた。

「アクア?」

「……小姑ライフはまだまだね」

そうアクアは、いつもはニヤリという様な意味深に歪める口から、盛大な溜息を吐いた。

そんなアクアと葵の意図がわからないマリンは、葵に名で問い掛けた。

「葵さん?」

「まあ、今更この二人の邪魔をしようとする馬鹿者はいないであろうしな」

そう答えた葵は、アクアより大きく溜息を吐いた。

この二人の邪魔をする事が出来る者はいないという確信と共に。

そして、二人の意図がわからないブルーとマリンは、首をかしげながら見合っていた。