痴話ゲンカ

ロイは自分の執務室のドアを開いた時、全身を硬直させた。

そんなロイの後ろにいたホークアイは部屋の中を見て溜め息をついた。

ロイの幼馴染みで同棲をしている恋人のユイラの下腹部に、ヒューズが触れていたから。

しかも、ユイラは応接用の長いソファに仰向けで横たわっていた。

ロイの心情に気付かなかったユイラはのんきに言った。

「お疲れ様。ハクロちゃんの相手は大変だったでしょう? あ、ロイもヒューズに……」

そこまで言った時、ユイラはロイの様子が変なことに気が付いた。

「ロイ?」

そうユイラは問いかけるがロイは硬直したままだった。

ユイラが気付かないロイの気持ちに気付いたヒューズはニヤリと笑った。

「ロイ、男の嫉妬は醜いぞぉ?」

「……遺言はそれだけか?」

そう言ったロイは、黒いオーラをまとわせながら素早く発火布を身に着けた。

マジで火力が全開する5秒前となった時、ユイラはロイの誤解に気が付いた。

なので、ユイラが何かを言おうとした時、ロイの発火布の錬成陣が破られた。

「中佐、東方司令部ごと御自分も消し炭にするおつもりですか?」

と、練成陣を破った弾丸を放ったホークアイが言った時、ロイの顔は真っ青になった。

 

 

「この大馬鹿者!」

と、ロイは大きな声でユイラを怒鳴りつけた。

しかし、ユイラも負けないくらいの勢いで反論した。

「それはロイロイの方でしょ! ヒューズはマッサージをしてくれただけなんだから!!」

と言うユイラの言葉は、一応冷静になったロイが聞いたことが事実だと語っていた。

だが、ロイにとってユイラは『自分の女』であり、ヒューズは『男』なのだ。

そういう思いを抱くロイにとっては感情的に納得できなかった。

たとえ、ユイラがロイ以外に興味を持っていないと知っていても。

「ヒューズは男だぞ! 俺以外の男にそんなところを触れさせるな!!」

「ヒューズはロイロイとは違って信頼できるし、マッサージも上手だもの!」

と、ユイラは再び反論した。

ロイの言い分がわかっているからこそ、ユイラは譲れなかった。

また、ロイもユイラの思いがわかるからこそ、嫉妬めいた感情を抱いてしまうのだ。

「俺よりもヒューズを選ぶというのか!」

「人の処女をその場の勢いで奪った人には言われたくないわよ!」

という、ユイラの発言に対してハボックは目を見開いた。

ホークアイはTPOを考えないユイラに対して溜め息をついた。

また、ヒューズは笑いをかみ殺しながら静観しようとした。

そして、ロイとユイラはそんな状況もわきまえずに犬も食わぬモノを続けた。

「お前も流されただろう?!」

「好きな男に流されない女なんていないわよ!」

「ほぉーお前も『女』だったのか」

と言ったロイは、ニヤリと笑った。

そんな余裕をみせるロイの態度に単純な怒りを覚えたユイラはぽつりと言った。

「……不能の癖に」

「なっ! 俺がいつそんなことになった!!」

「私がベッドの上でも『泣かせ』たら、萎えるんじゃない?」

「なら、今夜はどちらが先にギブアップするか、にするぞ?」

そうロイが言い返した時、ヒューズは呆れながらも口を挟んだ。

「やめとけ、ロイ。攻める方が体力を使うし、ユイラの体力に勝てる人間なんていないぞ」

「応援を有り難う、ヒューズ」

と、ユイラはヒューズに微笑みながら言った。

なので、ヒューズも応えるように微笑みを返した。

「俺は女に優しい男だぜ?」

「いい男ね、ヒューズは」

「ユイラ?」

と言ったロイの言葉にこめられた静かな怒りは、その場の雰囲気を凍らせた。

さすがのヒューズも口を閉ざすしかなかった。

だが、ユイラは笑みを添えて応えた。

「なんでしょうか、嫉妬するしか能がない不能大佐様?」

「……ユイラ、明日の非番はミニスカだ」

と言いながら、ロイは溜め息をついた。

ロイの意図がわからないユイラは不審をあらわにした声を返した。

「は?」

「たまには『幼馴染み』に戻らないか?」

「……そうだね、ロイ」

そう応えたユイラは穏やかに微笑んだ。

そんな表情を見たことも想像したこともなったハボックは素直に驚いた。

だが、ヒューズはうつむいてから眼鏡を指で押し上げた。

そして、ホークアイは表情を変えず、ただ見ていた。

 

 

 

とりあえず、一件落着したからと、ヒューズとハボックとホークアイは退室をした。

そして、ロイのミニスカ発言の意図がわからないハボックはただ呆れていた。

そんなハボックに対して、ヒューズは声を掛けた。

「アレはそういう意味だけじゃないぞ?」

「え?」

「ユイラはスカートをはかないんだ。ロイに対して今の様になった時から」

「え、どうして?」

と、ハボックは当然の問いかけをヒューズに返した。

だが、ヒューズはあえて明確な答えを返さなかった。

「……けじめと言うか、ユイラにとっての区切りみたいなもんだな」

そう言いながら、ヒューズは苦笑いをした。

意味が判らずに眉を顰めるハボックに対して、ヒューズは答えずに違う問い掛けをした。

「ま、それよりもだ。ハボック准尉はユイラと手合わせしたことがあるか?」

「いえ。指導をしているところを見たことはありますけど」

「なら止めておけ。アームストロング少佐相手に引き分けるヤツだからな」

と、まるで世間話のようにヒューズは言ったが、ハボックを驚かせるには充分だった。

「えっ……」

「グランのじじいが逆鱗に触れた時、ユイラは瞬殺したからな」

というヒューズの言葉は、ハボックから言葉を奪った。

「だから、ユイラの逆鱗には気をつけろよ?」

「……」

 

 

 

 

 

「たすけて」と同じオリキャラ(ロイの幼馴染み)となっています。

また……この話って微エロになりますか?

いえ、ロイの幼馴染み(オリキャラ)の発言がヤバイかなぁ?と

……とりあえず、ロイの幼馴染みの戦闘能力についてですが、イズミ並みかそれ以上との設定をしています。

この二人の手合わせはいつか書いてみたいです。

多分、非常に複雑な冷や汗をかくだろう、ロイもセットで(笑)