独占禁止!前編

「告白」の続きとなっています。

 

 

 

星の娘候補だったマリンとアクアと葵が、ブルーと共に暮らすようになってから数カ月。

そして、ブルーとマリンが『恋人』となってから1カ月が過ぎた。

しかし、共に暮らすアクアと葵は、ブルーとマリンの距離が近づいたとは思えなかった。

いや、2人が想いあっている事は色恋沙汰に鈍い葵も気づいていた。

それ故に、葵以上に気付いていたアクアは、溜め息を吐きたい状況だった。

その状況を打破しようと、休日の昼食後、アクアは唐突な問いをマリンに突き付けた。

「マリンはブルーを独占する気がないのね?」

そうアクアに問われたマリンは問われた内容も意図も分からず、ただ首を傾げた。

「え?」

「じゃあ、今日からわたしがブルーを独占するわ」

「えっ?!」

とアクアに対して驚きの声を返すマリンと対照的に、ブルーは考え込むように沈黙した。

そして、蚊帳の外となった葵は、ただアクアの提案の意図に気付き、淡々と了承した。

「……そうか。では、マリン殿との時間を久方ぶりに楽しむとしよう」

そう葵がアクアの提案を受け入れるとは思わなかったマリンは再びただ驚いた。

そして、沈黙していたブルーが、アクアの意図を確認しようと口を開こうとした。

しかし、それを察したアクアは、ブルーの言葉を遮る様に、強気な宣告を言葉にした。

「マリンを一人占めも出来ないダメ男なブルーの意見はスルーよ」

とアクアに言われたブルーは、言われた言葉の意味がわからずにただ考え込んだ。

そして、ようやく思考する事が出来る様になったマリンは、アクアに反論しようとした。

「ま、待ってください、アクアさん!」

「わたしがブルーを独占するのは昔と同じよ?」

「そ、それは……で、でも、ブルーさんは私の恋人です!」

そうマリンはアクアに対し、虚勢ともいえる強気さで断言をした。

しかし、マリンの虚勢も見抜いているアクアは、淡々とした口調で問い返した。

「そうかしら?」

「え?」

というマリンの素直な反応を見たアクアは、小さなため息を吐いてから宣言をした。

「……答えがわからないマリンにはオシオキ。正解がわかるまでブルーは私のモノね」

「アクアさん!」

「……今回はアクア殿が正しそうだな」

そう葵がアクアに同意する理由がわからないマリンは不安げな声で名を口にした。

「……葵さん?」

「考える事より行動する方が、マリン殿には似合うと思うぞ。だから、今日くらい私に付き合ってくれないか、マリン殿?」

「……わかりました」

と、マリンは葵とアクアに対し、マリンは感情で納得できずとも、ただ理性で了承した。

その想いにも気付いているアクアは、少しだけマリンを安心させる様な言葉を口にした。

「じゃあ、ブルーには『おとめごころ』をしっかり叩きこんであげるわ」

「……程々にな、アクア殿」

「ふふふ、それはブルー次第ね」

そうアクアと葵が言葉と確認を交わしているのを聞いたマリンは唐突な提案をした。

「今日の夕食は私がつくっても良いですか?」

「あら、マリンの手作り夕食になるなら、おむらいす希望だわ」

と応えたアクアは、正確にマリンの意図に気付き、予想通りの展開に喜んだ。

そして、アクアの二重の意図と、マリンの思惑にも気付いた葵は苦笑った。

「そうだな、今日は皆オムライスとしようか」

「……ブルーさんもそれで良いですか?」

「うん。マリンのオムライス、楽しみしているよ」

そうブルーからの了承も得たマリンは、少しだけ歪な笑みで葵にも問いかけた。

「……はい。ありがとうございます。じゃ葵さん、食材の購入も手伝って頂けますか?」

「では、今日は食材を共に買い歩く事としようか」

「なら、今日の夕食、楽しみにしているわ」

「はい、頑張ります!」

 

 

 

夕食の準備をする為、ブルーとアクアを家に残し、マリンは葵と共に家を出た。

そして、家から店が並ぶ場所に近くなった時、葵はマリンの意図を確かめようとした。

「……どうしたのだ、マリン殿。今日の夕食当番は私だったのだが?」

「……私、未だにブルーさんを直視する事もできないんです」

というマリンの告白は、真摯で一途でもあったが故に、葵は返す言葉がなかった。

いや、あえて葵は言葉を返さず、ただマリンの告白を聞こうと思った。

そして、その様な葵の意図に気付いたマリンは、自嘲する様な笑みを浮かべた。

「もちろん、ブルーさんへの想いは誰にも負けない自信と独占欲は強いつもりです……でも、それだけでは『恋人』にはなれないですね」

そう感じている想いを言葉にしたマリンに対し、葵は年長者らしい笑みでただ問うた。

「……マリン殿は形だけが欲しいと思うのか?」

「形、ですか?」

と葵に答えたマリンは、ただ質問の意図がわからず、ただ首をかしげた。

その様な乙女らしいマリンの反応に対し、葵は苦笑いながらも率直に問い返した。

「ただ視線が合うだけで真っ赤になる恋人というのは、初々しすぎると思うが、恋人という言葉にそぐわないとは思わないが?」

「ですが……」

そうマリンは葵の言葉に納得できない思いを込めて反論をしようとした。

しかし、マリンの反応を予測済みだった葵は、反論を封じる様に再び問い続けた。

「人にはそれぞれ個性というものがある。ならば、恋人にも当てはまるとは思わぬか?」

という葵の問いかけは、マリンの反論と言動を封じた。

いや、感情的には納得できずとも、葵の言葉が正しいと判じる理性とただ争っていた。

その様なマリンの葛藤も見抜いている葵は再び年長者らしい笑みで問い続けた。

「まあ、想いを実行出来ずとも、想うが故に、今夜の夕食をつくろうと思ったのであろう?」

「葵さん……」

「ふふふ、いくら色事に鈍い私でも、それくらいは分かるぞ。今夜のオムライスでアクア殿を納得させるのも良い案だと私も思うぞ」

そう葵に断じられたマリンは、先程までの悩みや葛藤が嘘の様な清々しい笑みを見せた。

「はい! まずは外堀から、ですね」

「外堀?」

「まずはアクアさんに認めてもらう事も、重要で大切な事ですから」

というマリンの答えは、『恋人』として認められる以上の意味を感じさせた。

いや、マリンが意識していないだけだとも気付いた葵は、少しだけ目を見開いた。

それから、葵はマリンの無意識に対してただ苦笑う様に呟いた。

「初々しいのか、大胆なのか……本当に、マリン殿は不思議だな」

「え?」

「なんでもない。さて、食材探しには当てはあるのか、マリン殿?」

そう話題を切り換える様な葵の問いに対し、マリンもただ微笑みながら答えた。

「はい! 今日はご飯にもこだわろうと思うんです!!」

「……張り切り過ぎて空振りとならぬ様、ストッパーも務めた方がよさそうだな、今日は」

という呟きが聞けなかったマリンは、確かめる様な視線を葵に送った。

しかし、その視線に気づかないフリをした葵は、ただマリンに次なる行動を促した。

「さあ、私の事よりも夕食の事を考えた方が良いぞ、マリン殿」

「そうですね。じゃあ、海岸沿いのお店に行きましょう!」

「ああ。そうしよう」

 

 

 

 

 

以前更新した「告白」の1ヵ月後を想定して書いてみました。

恋する乙女なマリンと天然なブルーだと『恋』の進展は難しいと思いますが、

そんな二人であるが故に、無自覚な進展もアリかな?と書きながら思いました。

ただ……未だにファンタ2のフルコンプ再開が出来ぬ程の体調不良かつ時間不足なので、

現在もブルマリ以外の固定CPが定まっていません(涙)

なので、しばらくファンタ2ではブルマリで頑張ります!