「友情優先」冬海&天羽VS柚木

練習室へ至る一本道のはじまりで、柚木は天羽と冬海を見つけた。

故に、柚木は優等生らしい完璧な笑みを見せると、天羽と冬海はまっすぐな視線を返した。

「天羽さんに冬海さん、僕に何か用があるのかな?」

「香穂はここに居ませんよ?」

そう天羽が柚木に問い返すと、柚木はあえて小動物のようにビクビクしている冬海に問いかけた。

「冬海さんも加地君と協力して、僕と『対立』するのかな?」

「!」

「ここで、私ではなく冬海ちゃんに問うあたり、本気ですね、柚木先輩?」

「なら、天羽さんが僕に教えてくれるのかな?」

と柚木が冬海を背でもかばう天羽に問い返すと、天羽の背から顔を見せた冬海が柚木に問いかけた。

「ゆ、柚木先輩は、香穂先輩を本当に好きですか?」

「……僕と日野さんの恋愛事情を記事にでもするのかな、天羽さん?」

「ファータと同じですよ。記事よりも優先すべき事は有ると思っていますから」

「わ、私も、香穂先輩の味方になりたいんです!」

そう柚木に答える天羽の思いと冬海が友情を優先するが故の勇気を察した柚木はあえて優等生らしい完璧な笑みを見せながら香穂子の名を口にした。

「ありがとう。君達の様な友人に出会えて、香穂子は幸せ者だね。なら、問う事は一つだ。僕は香穂子に似合わぬ恋人だと思うのかな?」

「!」

「……できれば違う口調でも聞いてみたいですけど、どうですか?」

「それは香穂子だけの特権だと思わない、天羽さん?」

という柚木と天羽の会話、否、狸と狐めいた不毛な会話へと、再び冬海が勇気を振り絞ってから割って入った。

「……あ、あの、香穂先輩は理事長室です。先程、理事長の秘書を名乗る方に声をかけられたので」

「有り難う、冬海さん」

そう柚木が優しげな笑みで感謝をすると、冬海もギリギリの勇気を振り絞って香穂子の幸福を願った。

「い、いいえ……どうか、香穂先輩をお願いします」

「とりあえず、恋人宣言をするなら、一番に知らせてくださいね? 大特集しますから!」

「……それも考えておくよ」

と天羽の答えた柚木は先程までの焦る気持ちが表れた様な早歩きではなく、いつもの歩調で理事長室へと歩き出した。

 

 

 

 

 

柚木先輩は書くのが難しいのに、何故かVSだと書きやすいと気づきました。

……CPが前提のVSなお話は需要があると思いますが、VSだけってアリなんでしょうか?