Meet

八戒がその名を得て悟浄と再会した後、彼らが黄金の下に自ら集う事を選んだ。

それを予想していた静華もそれを見届けられた事が嬉しいという思いを隠せなかった。

また、八戒と悟空と三蔵をご飯に誘った悟浄から声をかけられた静華は心の中で泣いた。

その涙が嬉し涙なのか、憂う涙なのか、静華はただ流れる涙を止めなかった。

それでも、三蔵の声が聞こえた静華は、ふと現実に戻った。

 

 

 

「お前らと旅なんざ、死んでも御免だ」

そういう三蔵が煙草の煙を吐きながら言い捨てると、静華は内心を隠すように微笑んだ。

「あら、アリだと思うけど?」

「そうですね、静華さん。僕も楽しいと思いますよ」

「そうよね~誰かさんみたいな朴念仁と八戒は違うわ~」

という静華が何かを隠していると4人は気付いていたが、三蔵は待つ事を選んだ。

また、何かに気付いても当までに思考まで至らない悟空はただ食への疑念を言葉にした。

「なぁ、バナナはおやつに入るのか?」

「おめーが満足できる量の弁当、誰に用意させる気だ?」

そう悟空に問い返した悟浄も静華の隠し事に気付いても気にしなかった。

そして、その様な悟浄の変わらぬ言動故に悟空はただ質問に答えた。

「え……えっと、はっかい?」

「期待は嬉しいですけど、僕でも準備に数日は必要かと」

という八戒も静華の異変に気付いていたが、三蔵の反応を確認してから気にしなかった。

その様な4人の思いが嬉しいと想った静華は表裏一体の艶やかな笑みを見せた。

「あら、私に期待はしてくれないの?」

「お前に任せたら、ロシアンルーレットは確実だろう、静華」

「あら、さんぞうは参加しないんじゃないの?」

そう静華が会話に参加した三蔵に問い返すと、三蔵は静華ではなく悟空を理由にした。

「……飼い主が参加しない訳にはいかないだろう」

「あーまた動物扱いするのかよ、三蔵!」

と悟空が三蔵からの扱いに抗議すると、悟浄はニヤニヤと笑い、八戒は読めない笑みを見せた。

そして、静華が内心の涙を自ら拭う事を選んだ静華はそっと三蔵に寄り添った。

それに気づいた三蔵は満足げに煙草をふかしたが、抗議に夢中な悟空は気付かなかった。

故に、悟浄はあからさまにニヤニヤと笑い、八戒は保護者の様に微笑んだ。

「素直じゃないねぇ」

「じゃあ、決定ですね。保護者さんの許可が下りましたし」

「じゃあ、ロシアンルーレットじゃなくて、激辛料理でも良い?」

そういう静華はあえて場を盛り上げようとツッコミをされる事が前提の提案をした。

だが、その様な意図を察しても、万が一にも実現がされたくないと思った三蔵が止めた。

「却下だ」

「ひっどーい! 三蔵のカタブツ、ムッツリスケベ!!」

「静華、どういう意味の抗議だ、それは」

と三蔵が静華のツッコミ前提の提案へ丁寧にツッコミを入れると、3人は顔を合わせた。

すると、悟浄はニヤリと笑い、八戒は意味深に微笑み、悟空は無自覚にワクワクした。

それに気付いた静華は更に嬉しそうに笑い、三蔵は苛立ったが、3人は変わらなかった。

「お、やっぱり三蔵はしつこいのかい、姐さん?」

「あははは、静華さんへの三蔵の独占欲の強さを考えたら、当り前じゃないですか、悟浄」

「えー! 三蔵ってそんなにすごいのか?!」

「それはねぇ……」

そう静華が3人の会話へ加わる様に答えようとしたが、無言で三蔵が発砲した。

その様な三蔵の無言の怒りを察しても、4人は変わらなかった。

故に、三蔵の怒りは頂点へと更に加速した事も察した悟浄が八戒に報告した。

「せんせー、保護者がモンスターペアレントになりまーす」

「三蔵は元々が過激ですからねぇ~」

「静華姉ちゃんがホントのコト言おうとしたくらいで、逆ギレすんなよ三蔵」

という3人の言動で怒りが増している三蔵は拳銃をしまって経典を手にしようとした。

「……てめーら、まとめて殺されてぇのか!」

「うわ―本気だよ、この人」

「確かに常軌を逸していますね~」

そう悟浄と八戒はこの危機を乗り越えるかを考えたが、悟空は三蔵が感情をあらわにしている事を楽しく思った。

「ホンキの三蔵なんて珍しいな!」

「……喜んでいる場合じゃないわよ、悟空」

という静華は3人とは違う意味で三蔵の怒りを見ていた。

そして、その様な静華に対して三蔵は殺意に満ちた表情を隠さずに見せた。

「わかっているじゃねぇか、静華」

「もう、そういう強引さはベッドの上の方が……」

そう静華が三蔵をあえて刺激する様な下ネタを口にした為、三蔵の怒りは頂点に達した。

そして、それを3人も察したが故に、本気でこの危機が生命の危機だとも察した。

「あ、やべ」

「確かに危険ですね」

「静華姉ちゃん……ちょっとヤバいかも」

という三人の危機感を同じ様に抱いた静華は対応できる最後にカードを切った。

「そうね、こういう場合はこれしかないわ」

「静華、お前から……」

そう三蔵が頂点に達した怒りを近づいてきた静華に向けたが、静華から強引にくちづけられた三蔵は目を見開いた。

そして、唐突にキスシーンを見せられた悟空はただ楽しげに見物し、悟浄は口笛を吹き、八戒はただ微笑みながら見守った。

また、唐突に公開キスをさせられた三蔵は、先程までとは違う怒りを静華に向けた。

「……てめぇ」

「いやん、お詫びは受け取って?」

「コロス!」

という三蔵は先程までとは違う、痴話喧嘩といえる様な児戯めいた怒りを静華に向けた。

そして、その様なすり替えを意図的にした静華は、三蔵の怒りに脅えるように逃げた。

「いや~ん、たすけて~」

そう怯えた様な声音で逃げ回る静華に対し、三蔵は躊躇う事なく後を追いながら怒った。

痴話喧嘩といえる三蔵と静華の追いかけっこに対し、悟浄は呆れ、八戒は驚き、悟空は笑った。

「……さすが静華姐さん」

「確かに、三蔵は静華さん以外が見えていませんね」

「すっげー、静華姉ちゃん」

と3人がそれぞれの感想を確認し合ってから静華への認識を改めた頃、三蔵の体力の限界を察した静華が戻ってきた。

「もう、そんなに体力を使ったら、夜まで持たないでしょ、さんぞう」

「……うるさいっ」

そういう三蔵は疲労困憊だったが、怯えて逃げていたはずの静華は常と変わらなかった。

「さっすが、姐さん。プロ顔負けだぜ?」

「静華さん以上に三蔵を翻弄できる人はいませんね」

「そうだよな。俺も三蔵を翻弄できるようになりたい」

と三人が静華を凄いと告げると、静華は悟空の認識違いを指摘した。

「あら簡単よ、悟空なら」

「へ?」

「……何を言うつもりだ、静華」

そういう三蔵は疲労困憊をした状態のままでも静華の言動を制そうとした。

だが、今は、否、悟空の認識違いを真面目に指摘しようと思っていた静華は苦笑いながら答えた。

「三蔵を呼べばいいのよ、出会った時と同じように」

「出会った時?」

「ええ。それだけで良いのよ。人が人を必要とするコトなんてね」

という静華の答えが想定外で、ある意味では真理といえる答えを聞いた4人は沈黙した。

その様な沈黙を正確に理解した静華は、妙齢の美女に似合う意味深な笑みを見せた。

「あら、簡単過ぎて青いボーヤ達にはムズカシイかしら?」

「年下扱いをするな、童顔」

そう三蔵は静華の言葉ではなく、年下扱いに対して怒った。

「あら、年齢なんて関係ないって言ったのは、さんぞうの方よ?」

「確かに、天界生まれの静華さんには年齢でも勝つ事は難しいですよね」

と八戒も三蔵の話題のすり替え、否、怒りに便乗する事で話題を変えようとした。

また、悟浄も八戒の様に話題をすり替える事に同意した。

「それに、その発言はある意味『タブー』だろ、静華姐さん」

「じゃあ、静華姉ちゃんって、俺よりも年上なのか?」

そう悟空が単純かつ誰もがツッコミを入れられない微妙な疑念を言葉にした。

しかし、その様な悟空を筆頭とする微妙な疑念に対して静華は静かに怒った。

「女に年齢を聞く時点で青いわよ、悟空」

「いい加減にしろ。もうすぐ街だ、飯が不味くなる」

と言った三蔵は新しい煙草を取り出した為、静華はその煙草に火をつけながら応えた。

「そうね。食事は楽しく、よね」

「その割に仕掛けがあるよな、姐さんの手料理には」

「あら、多少のスパイスは必要よ?」

「でも、静華さんの『スパイス』の効果はキツイですよ?」

そういう八戒も悟浄に同意する様に、静華の『スパイス』は強烈で回避したいと思った。

だが、鉄の胃袋を持つ悟空には許容も可能な『スパイス』故に静華の意見に同意した。

「俺は静華姉ちゃんの手料理、大好きだ!」

「ありがとう、悟空。そう言ってくれるのはあなただけよ」

「……悟空の胃袋と一般人の胃袋を同一視するな」

と三蔵は静華と悟空にツッコミを入れたが、静華は悟空を抱き締める腕を緩めなかった。

故に、三蔵は再び怒りながら静華から悟空を引き剥がそうとした。

その様な3人の漫才を見ていた八戒は苦笑いながらも幸せだと思った。

「……平和、ですね」

「そうだな、こういう日も良いかもしれないな」

そういう悟浄も八戒に同意した時、漫才を繰り広げていた悟空が街を目視した。

「あ、街だ! 飯だ!!」

「うるさいぞ、猿!」

と言いながら悟空にハリセンでもツッコミを入れた三蔵に対し、静華はニコニコと笑い、悟浄は呆れ、八戒はこれから食事をする場所を探した。

 

 

 

 

 

今回のタイトルの意訳は「合流、立ち向かう」です。

そして、これにて三蔵一行と当サイトのオリキャラである静華との出会い編は終わりとなります。

 

そして、次の更新は「サイカイ」のはじまりともいえる天界編(最遊記外伝)です。

そして、天界編では静華の身分も含めて、今までと違うところも多いかと。

ですが、静華は静華だと思っておりますし、そう思って書いているので、「サイカイ」シリーズも最後までお付き合い頂ければ幸いです。